かゆみや赤みのサインを見逃さない!|犬や猫のアレルギー性皮膚炎の原因と対策
- 皮膚科
愛犬や愛猫が頻繁に体を掻いたり、舐めたりしているのを見て、「皮膚が赤くなっている!」と驚いたことはありませんか?このような行動は、皮膚のかゆみや違和感があるサインかもしれません。
特にアレルギー性皮膚炎は、犬や猫に頻繁に見られる皮膚トラブルの一つで、早期のケアと適切な対処が重要です。
アレルギー性皮膚炎を放置すると、かゆみや炎症がどんどん悪化し、体を掻きむしることでさらに傷つけてしまうことがあります。これにより、皮膚のバリア機能が低下し、細菌や真菌による二次感染を引き起こすリスクも高まります。
今回は、アレルギー性皮膚炎についての基本的な知識や原因、そして日常生活で実践できる具体的な対策について詳しく解説します。
■目次
1.アレルギー性皮膚炎とは?
2.犬や猫のアレルギー性皮膚炎の主な症状
3.アレルギー性皮膚炎の原因と種類
4.診断方法
5.治療方法
6.予防と日常のケア方法
7.まとめ
アレルギー性皮膚炎とは?
アレルギー性皮膚炎は、犬や猫が特定の物質(アレルゲン)に対して免疫反応を過剰に起こしてしまうことで、皮膚に炎症が生じる病気です。原因となるアレルゲンには、以下のようなものがあります。
・環境アレルゲン:ハウスダスト、ダニの死骸、花粉
・食物アレルゲン:特定の食べ物
・寄生虫由来:ノミの唾液や寄生虫の分泌物
この病気は、犬種や猫種、年齢を問わず発症する可能性がありますが、特に若い犬や猫では免疫機能が敏感に反応し、症状が重くなることがあるのが特徴です。
犬や猫のアレルギー性皮膚炎の主な症状
アレルギー性皮膚炎の症状はさまざまですが、最も特徴的なのは「かゆみ」です。このかゆみは、犬や猫にとって非常にストレスとなり、行動や生活の質(QOL)に大きな影響を与えることがあります。
<主な症状>
・かゆみを伴う行動:頻繁に掻く、舐める、噛むといった行動が見られます。
・皮膚の赤み:耳、おなか、脇腹など皮膚の薄い部分が特に赤くなることがあります。
・湿疹やかさぶた:掻きむしることで皮膚が傷つき、湿疹やかさぶたができる場合があります。
・脱毛:かゆみのある部分を繰り返し舐めたり掻いたりすることで、その場所だけ毛が抜けてしまうことがあります。
・フケの増加:皮膚の状態が悪化することで、フケが目立つようになる場合があります。
<症状が現れる部位>
症状が現れる部位はアレルゲンの種類や愛犬・愛猫の体質によって異なりますが、以下のような箇所でよく見られます。
・耳周り:特に外耳炎を伴う場合、耳が赤くなり、痒がることが多いです。
・目回り(猫):目の周りが赤くなったり、涙が多くなったりすることがあります。痒みを感じて顔をこすりつける仕草が見られる場合もあります。
・口元やあご:食物アレルギーが関係している場合、この部分に炎症が現れることがあります。
・足先:頻繁に足を舐めている場合、環境アレルゲンが原因の可能性があります。
・おなかや脇腹:皮膚が薄く敏感なため、赤みや湿疹が出やすい部位です。
アレルギー性皮膚炎の原因と種類
アレルギー性皮膚炎は、犬や猫にとって非常に一般的な皮膚疾患で、さまざまな原因によって引き起こされます。
それぞれの原因を把握し、適切に対応することが、症状の改善と再発防止のカギとなります。
<食物アレルギー>
食物アレルギーは、特定のタンパク質や食品成分に対して過剰な免疫反応を起こすことで発症します。鶏肉、牛肉、乳製品、小麦などが一般的な原因ですが、アレルゲンは個体差があります。
このタイプのアレルギーは、体のさまざまな部位に症状が現れる可能性がありますが、特に顔周り、耳、足先に赤みやかゆみが出やすいのが特徴です。
<環境アレルギー>
ハウスダスト、花粉、カビなど、環境中のアレルゲンが原因となるケースです。これらのアレルゲンは季節や住環境によって発症率が変化します。
例えば、春や秋は花粉が原因となるアレルギーが増えやすく、冬は室内環境の影響でハウスダストによる症状が目立つことがあります。
<ノミアレルギー>
ノミの唾液に含まれるアレルゲンが原因で、非常に強いかゆみを引き起こすアレルギーです。このタイプのアレルギーは、ノミの寄生を防ぐことで予防が可能ですが、一度発症すると治療に時間がかかる場合があります。
特に腰や尾の付け根周辺にかゆみや赤みが見られる場合は、このアレルギーの可能性があります。早めにノミ駆除の対策を取ることが重要です。
診断方法
アレルギー性皮膚炎を適切に治療し、再発を防ぐためには、まず正確な診断を行うことが重要です。そのため、以下のようなさまざまな検査を組み合わせて、診断を進めていきます。
・身体検査と問診
飼い主様からの情報を基に、どのような状況で症状が現れるのかを確認します。生活環境、食事内容、過去の治療歴などが診断の手がかりとなります。
・除外診断
他の皮膚疾患(真菌感染症や細菌性皮膚炎など)が原因でないことを確認するために、皮膚検査や培養検査を行います。これらの検査を通じて、アレルギー性皮膚炎である可能性を慎重に絞り込んでいきます。
・アレルギー検査
血液検査や皮内反応検査を行い、アレルギーの原因となるアレルゲンを特定します。
・食事試験
食物アレルギーの可能性を調べるために、除去食試験を行います。この試験では、特定の食材を含まない食事を一定期間与え、症状が改善するかを確認します。その後、徐々に食材を追加して反応を見ることで、アレルゲンを特定します。
治療方法
アレルギー性皮膚炎の治療は、原因に応じた適切な方法を選択することが大切です。
<薬物療法>
かゆみを抑えるために、抗ヒスタミン薬やステロイドが使用されることがあります。近年では、免疫をコントロールする新しい薬剤が開発されており、副作用が少ないことが特徴です。
症状の重さに応じて、獣医師が最適な薬を選択します。
<スキンケア>
保湿効果のあるシャンプーや軟膏を使用して、皮膚の状態を整え、健やかに保つことが大切です。 特に、アレルギー性皮膚炎やアトピー性皮膚炎は乾燥が症状を悪化させるため、日常的なスキンケアが重要です。
<食事療法>
食物アレルギーの管理には、アレルギー専用の療法食が役立ちます。療法食を使用する際は、長期的な食事管理が必要で、獣医師の指導のもとで適切に進めることが大切です。
<生活環境の改善>
ハウスダストや花粉などのアレルゲンを減らすために、こまめな掃除や空気清浄機の使用が効果的です。また、ノミ予防には、定期的にノミ駆除薬を投与することで、アレルギーの発症を防ぎます。
予防と日常のケア方法
アレルギー性皮膚炎を防ぎ、症状を管理するためには、以下のような日常的なケアと予防策が欠かせません。
<予防方法>
・定期的な掃除と空気清浄
ハウスダストやカビなどのアレルゲンを減らすため、こまめな掃除を心がけましょう。空気清浄機を活用するのも効果的です。
・ノミ・ダニ予防薬の使用
ノミアレルギーを防ぐために、定期的に動物病院で購入したノミ・ダニ駆除薬を使用してください。
・散歩後の身体ケア
外から持ち込まれる花粉や汚れを防ぐため、散歩後は足や身体をしっかり拭きましょう。
・適切な食事管理
アレルギー対応のフードや療法食を獣医師と相談しながら選び、食事管理を徹底しましょう。
・ストレス軽減
ストレスが免疫力の低下を引き起こし、症状を悪化させることがあります。安心できる環境を整え、愛犬や愛猫がリラックスできる時間を作ることが大切です。
<日常のケア方法>
・皮膚の観察
毎日、赤みやかゆみがないか皮膚をチェックし、異変があれば早めに動物病院で相談しましょう。
・定期的なシャンプー
月に1〜2回程度、低刺激性のシャンプーを使用して皮膚を清潔に保ちます。ただし、頻度が多すぎると乾燥を招くため注意が必要です。
・保湿ケア
皮膚が乾燥している場合やシャンプー後には、保湿剤を使ってうるおいを保つことが大切です。保湿剤には、クリーム、ローション、乳液、ジェル、泡、スプレーなど、さまざまなタイプがあります。愛犬や愛猫の皮膚や被毛の状態に合わせて、最適なタイプを選びましょう。
選び方や使用方法については、かかりつけの獣医師に相談することをおすすめします。
・ブラッシング
毛の絡まりを防ぎ、皮膚の血行を促すため、こまめにブラッシングを行いましょう。
まとめ
アレルギー性皮膚炎は、原因がさまざまであるため、早期発見と適切な対策が欠かせません。日常生活でのちょっとしたケアや予防を取り入れることで、愛犬や愛猫の快適な生活を守ることができます。
もし、皮膚の赤みやかゆみ、その他の症状が見られた場合やケア方法についてお悩みがあれば、ぜひ当院にご相談ください。
愛犬や愛猫の状態に合わせて、必要な検査や治療を丁寧に行い、日常のケア方法についてもわかりやすくお伝えします。
世田谷区上祖師谷の成城通り病院「池田動物病院」