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春の愛犬・愛猫 予防接種ガイド|狂犬病からレプトスピラまで、世田谷区の獣医師が解説

  • 総合診療

春の訪れとともに、動物病院も少しずつ活気づいてくる季節になりました。桜が咲き、気温が上がるこの時期、実は犬や猫にとっては感染症のリスクがぐんと高まる時期でもあります。

 

「うちの犬(猫)はあまり外に出ないから、予防ってそこまで必要?」

「毎年同じワクチンを打たなくても平気なんじゃない?」

そう思われる飼い主様もいらっしゃるかもしれません。ですが、春にこそ予防医療を意識していただきたい明確な理由があります。

 

今回は、狂犬病、レプトスピラ症、混合ワクチン、フィラリア、ノミ・マダニ予防など、春に考えておきたい大切な健康管理について解説します。

■目次
1.なぜ今、予防接種について考えるべきなのか
2.犬と猫に必要な春の予防対策
3.犬の予防接種スケジュール最新情報
4.猫の予防接種スケジュール
5.予防接種と同時に行いたい健康チェック(Q&A)
6.よくある質問(Q&A)
7.まとめ

 

なぜ今、予防接種について考えるべきなのか

春になると、暖かさとともに自然界の微生物や寄生虫の活動が活発になります。

その中でも特に注意が必要なのが、「レプトスピラ症」です。

 

2025年2月、神奈川県藤沢市内において、犬のレプトスピラ感染症が確認されました。残念ながら感染した犬は命を落としており、地域の飼い主様の間でも大きな不安が広がりました。

この病気は「人獣共通感染症」といって、犬から人へもうつる感染症であり、重症化すると腎不全や肝障害を引き起こすことがあります。

 

レプトスピラ菌は、水辺や湿った草むらなどに多く生息しており、山や川遊び、旅行先での散策がきっかけとなって感染することもあります。

特に、伊豆や長野方面など自然の多い場所へお出かけされる飼い主様には、当院でも予防接種の重要性を丁寧にご案内しています。

 

「予防接種はしなくてもいいかな」と思っている間に、万が一のことが起きてしまうと、後悔しても取り返しがつきません。

だからこそ、“何も起きていない今”こそが、予防を始める一番のタイミングです。

 

 

犬と猫に必要な春の予防対策

犬と猫の予防医療:フィラリア予防、混合ワクチン、ノミ・マダニ対策を示すイラストと子犬・子猫の写真

<混合ワクチン>

当院では、犬には6種混合ワクチン、猫には3種混合ワクチンの接種を基本としておすすめしています。

 

犬の6種混合ワクチンで防げる主な病気

犬ジステンパーウイルス感染症

犬パルボウイルス感染症

犬伝染性肝炎(アデノウイルス1型)

犬伝染性喉頭気管炎(アデノウイルス2型)

犬パラインフルエンザ

レプトスピラ症(2種類)

 

近年では、犬のコロナウイルス感染症にも注意が必要という報告が増えてきています。特に子犬のうちは免疫力がまだ弱く、重症化しやすいため、基本の予防をしっかりと行うことが何より大切です。

 

猫の3種混合ワクチンで防げる主な病気

猫汎白血球減少症(猫パルボウイルス)

猫カリシウイルス感染症

猫ウイルス性鼻気管炎(ヘルペスウイルス)

 

一見、外に出る機会がない完全室内飼いの猫でも、ウイルスは靴や衣類を通して家の中に入り込む可能性があります。そのため、室内にいるからといって安心せず、必要な予防はしっかりと行うことが重要です。

 

また、すでに猫を飼っているご家庭で新しくもう1頭を迎える際には、ワクチン接種の有無にかかわらずウイルス検査を行い、お互いの健康状態を確認することをおすすめしています。これは特に猫に多く寄せられるご相談のひとつで、感染拡大を防ぐうえでも大切です。

 

混合ワクチンについては「抗体価検査(こうたいかけんさ)」という方法を用いて、体内に十分な免疫が残っているかを確認することもできます。

この検査で抗体が十分にあることが確認された場合、毎年のワクチン接種を見送るという選択肢もあります。

ワクチンの必要性について不安がある方は、こうした検査を取り入れながら、より愛犬・愛猫に合った予防プランを検討していくことも可能です。

 

<フィラリア予防>

フィラリア症は、蚊を媒介して犬や猫の心臓や肺の血管に寄生虫が入り込み、命に関わる深刻な症状を引き起こす病気です。

特に春から初夏にかけて、蚊の活動が本格化する前に予防を始めておくことがとても重要です。

 

当院では、毎年4月〜5月にかけて血液検査を行い、問題がなければ予防薬の投与をスタートすることを推奨しています。

飲み薬・スポットタイプ・年1回の注射タイプなど、ライフスタイルに合った方法を一緒にご相談しながら選んでいきましょう。

 

フィラリア予防についてはこちら

 

<ノミ・マダニ対策>

ノミやマダニは、皮膚のかゆみだけでなく、バベシア症やSFTS(重症熱性血小板減少症候群)などの深刻な感染症を引き起こす原因にもなります。

これらの寄生虫は春から秋にかけて活発になるため、フィラリア予防と一緒に継続的なケアを行うことが理想的です。

 

 

犬の予防接種スケジュール最新情報

狂犬病予防接種は、日本では「狂犬病予防法」により年に1回の接種が義務づけられており、6月末までに自治体への届け出が必要です。

世田谷区でも春になると自治体から通知が届きますが、引っ越しや登録変更があった場合も含め、忘れずに接種と手続きを行いましょう。

 

狂犬病予防接種についてはこちら

 

一方で、混合ワクチン(当院では6種を推奨)については任意接種ですが、愛犬の健康を守るうえで非常に大切です。

犬ジステンパーやパルボウイルス、レプトスピラ症など、感染力が強く重症化しやすい病気を予防するため、年に1回の定期接種をおすすめしています。

 

当院では、混合ワクチンは毎年の健康診断と合わせて、春または秋に接種される方が多くなっています。

特に春はフィラリアやノミ・マダニ対策と予防のタイミングをまとめやすいため、接種の計画を立てやすい時期です。

 

 

猫の予防接種スケジュール

猫の場合、「完全室内飼いだから必要ない」とお考えの飼い主様も少なくありませんが、実際には室内で過ごす猫にも感染のリスクはあります

 

ウイルスは、人の衣類や靴、来客の荷物などを通じて室内に持ち込まれることがありますし、地震などの災害時や思わぬ脱走など、予定外の外出が感染のきっかけになるケースもあるため注意が必要です。

 

当院では、猫の予防として3種混合ワクチン(猫汎白血球減少症・カリシウイルス・ヘルペスウイルス)を基本に、年に1回の接種をおすすめしています。

初年度は、生後8週齢頃から数回に分けて接種し、その後は毎年の定期接種を継続することで、しっかりと免疫を維持できます。

 

また、外に出る機会がある猫や、新しい猫を迎える予定がある場合、多頭飼育をされている場合には、猫白血病ウイルス(FeLV)ワクチンの追加接種もご相談いただいています。生活環境に応じて感染リスクが高まるため、個別の状況に合わせた対策が必要です。

 

さらに、ワクチン未接種の猫と新しく迎える猫が一緒に暮らす予定がある場合は、事前にウイルス検査を行うことをおすすめしています。お互いの健康を守り、新しい生活を安心してスタートするためにも、事前の確認は欠かせません。

 

 

予防接種と同時に行いたい健康チェック

予防接種のタイミングは、愛犬・愛猫の健康状態を見直す絶好のチャンスでもあります。

年に一度でも、獣医師による基本的な健康チェックを受けておくことで、病気の早期発見や、見えにくい不調の予防につながります。

 

たとえば、お口の中のチェックでは歯石の付き具合や歯ぐきの炎症がないかを確認し、体重の増減からは肥満や痩せすぎなどのリスクがないかを判断します。また、皮膚や被毛の状態を見れば、皮膚病やノミ・マダニの兆候に気づくきっかけにもなります。さらに、耳の中の様子からは、外耳炎などの早期発見が可能です。

 

特にシニア期を迎えた犬や猫には、ワクチン接種と合わせて、血液検査・レントゲン・エコー検査といった定期的な健康診断を行うことをおすすめしています。

体調の変化に気づきにくくなる高齢期だからこそ、元気に見えても一度チェックの習慣が安心につながります。

 

 

よくある質問(Q&A)

Q.日本では狂犬病ってほとんど聞きませんが、本当に必要ですか?

A.たしかに、日本では1957年を最後に国内での狂犬病発生は確認されていません

ですが、それは長年にわたる予防接種の徹底と、飼い主様一人ひとりのご協力によって守られてきた結果です。

 

実際には、中国・台湾・韓国・フィリピンなど、近隣の国々ではいまだに狂犬病の発生が続いており、決して過去の病気とは言えません。

さらに、狂犬病は発症するとほぼ100%の致死率をもつ恐ろしい感染症であり、人にも感染します。

 

また、地震や災害による動物の移動、海外からのペット輸入などを通じて、ウイルスが国内に入り込むリスクもゼロとは言い切れません

そのため、狂犬病ワクチンは「義務だから」ではなく、万が一に備える社会的な責任として、これからも続けていくべき大切な予防です。

 

Q.副反応が心配です…

A.ワクチン後の副反応に不安を感じる飼い主様は多くいらっしゃいます。

実際には、接種後に見られる反応の多くは一時的なもので、以下のような軽い症状が中心です。

 

・少し元気がない

・注射部位が腫れる

・軽い発熱

 

人がコロナワクチンを受けたときの感覚に近いと説明すると、ご理解いただきやすいことが多いです。

また、まれにアレルギー反応を起こす場合もありますが、当院ではそのような事態に備えて、万全の体制で対応しておりますのでご安心ください。

 

もちろん、副反応のリスクがゼロになることはありませんが、命に関わる感染症を防ぐという目的の方が、はるかに大きな意味を持つと私たちは考えています。

 

 

とめ

春は、犬や猫にとってさまざまな感染症のリスクが高まる季節です。

狂犬病をはじめ、命に関わる病気から守るためにも、年に一度の予防接種を習慣にしていくことが大切です。

 

当院では、飼い主様の生活スタイルや、犬・猫の年齢や性格に合わせて、無理のない予防プランをご提案しています。

「どこまで予防すればいいのか分からない」「副反応が心配」といったお悩みにも、ひとつひとつ丁寧にお応えいたします。

 

予防医療は、愛犬・愛猫が元気な“今”だからこそできる、大切なケアのひとつです。

この春、あらためて予防について見直し、一緒に健康な毎日を守っていきましょう。

 

世田谷区上祖師谷の成城通り病院「池田動物病院」

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