【シリーズ③】犬猫の目・耳周辺のできものは要注意!デリケートな部位の症状と専門治療を解説
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シリーズ①では皮膚、②では口腔内のできものについて詳しく解説してきました。そして最終回となる今回は、「目・耳周辺のできもの」にスポットを当てます。
目や耳は、犬や猫にとって非常に繊細で、わずかな異常でも不快感やストレスにつながるデリケートな部位です。視覚や聴覚という重要な感覚を担っているだけでなく、顔まわりにあるため、できものができると気にして引っかいたり、こすったりすることで悪化してしまうケースもあります。
また、目のまわりや耳のつけ根に見られるしこりは、皮膚由来のものだけでなく、眼球内部や耳道内、さらには深部組織から発生している可能性もあり、「見た目では判断できないリスク」がある部位です。だからこそ、いつもと違うふくらみや腫れに気づいたときには、早めの受診がとても重要になります。
今回は、目や耳のまわりにできやすい代表的な「できもの」の種類や、気をつけたいサイン、受診の目安などについて解説していきます。
【過去のシリーズ記事はこちら】
・シリーズ①|犬・猫の皮膚にできものが!長寿化で増加するイボ・腫瘍の見分け方と適切な対処法
・シリーズ②|見逃しがちな犬・猫の口の中のできもの|口腔内腫瘍の症状と治療法を獣医師が解説

■目次
1.目・耳周辺にできやすい主なできものの種類
2.見逃してはいけない症状と緊急度
3.池田動物病院での診断・治療
4.日常生活での注意点と予防
5.シリーズ総括とまとめ
目・耳周辺にできやすい主なできものの種類
部位によって、できやすいできものの種類が異なります。
〈目周辺〉
① 眼瞼腫瘍(まぶたのできもの)
犬では乳頭腫などの良性腫瘍が多く見られますが、メラノーマや扁平上皮癌などの悪性腫瘍が発生する場合もあります。
猫では悪性率が高く、特に白っぽい毛色の猫に扁平上皮癌が多いことが知られています。
② マイボーム腺腫
まぶたの縁にある脂の分泌腺、「マイボーム腺」が腫瘍化したものです。良性の腫瘍で、高齢の犬や猫に多くみられます。腫瘍が大きくなると角膜や結膜を傷つける原因にもなります。
③ 角膜・結膜の腫瘤
角膜や結膜そのものに腫瘤ができることもあります。猫ではメラノーマ、扁平上皮癌、リンパ腫などの悪性腫瘍の発生が多くみられます。
④ リンパ節の腫大
目の下や耳の付け根にはリンパ節があり、炎症や腫瘍によって腫れることがあります。感染症による一時的な腫大から、リンパ腫といった悪性疾患まで原因はさまざまです。
〈耳周辺〉
① 耳道内腫瘍
良性では耳垢腺腫、悪性では耳垢腺癌、扁平上皮癌などが代表的です。
慢性的な外耳炎の影響で腫瘍が発生したり、逆に腫瘍の影響で外耳炎になったりすることがあります。
② 耳介(耳たぶ)のできもの
犬では皮膚組織球腫をはじめとした良性腫瘍のこともあれば悪性腫瘍のこともありますが、猫の場合はその多くが扁平上皮癌や肥満細胞腫といった悪性腫瘍です。
③ 耳周辺皮膚の腫瘍
良性・悪性にかかわらず、さまざまな腫瘍が発生します。良性腫瘍であれば皮膚組織球腫や皮脂腺上皮腫、乳頭腫などが、悪性腫瘍であれば肥満細胞腫やメラノーマなどが挙げられます。
④ 耳血腫
耳介の血管が破れて血液がたまる状態で、外傷や激しい掻き壊しが原因となります。
◆ 耳に関連するその他の異常
耳周辺ではできもの以外にも注意すべき病変があります。
その代表例が「鼓膜の異常」です。外耳炎や腫瘍、外傷の影響で鼓膜が破れたり厚くなったりすることがあり、放置すると中耳炎や内耳炎、聴覚障害につながることもあります。
目や耳は機能的に重要な器官であることから、できものが機能に直接影響する可能性が高く、注意が必要です。
見逃してはいけない症状と緊急度
目や耳にできものが見つかった場合、症状によって緊急度が異なります。そのため、以下を目安に動物病院を受診するようにしましょう。
〈目周辺の症状〉

| 緊急性 | 症状例 |
|---|---|
| 高 | ・目を細める/まぶしそうにする ・黄色〜緑色の大量の目やに ・できものが急に大きくなった |
| 中 | ・目を頻繁にこする/気にしている ・白目の充血 ・涙や目やにの増加 |
| 低〜経過観察 | ・小さなできもので症状なし |
〈耳周辺の症状〉

| 緊急性 | 症状例 |
|---|---|
| 高 | ・できものが破れ、出血や膿がある ・急激に腫れた |
| 中 | ・耳をかゆがる/頭を振る ・耳垢の異常増加 ・悪臭 |
| 低〜経過観察 | ・症状のない小さなできもの |
ただし、目や耳はデリケートな部位のため、軽微な症状でも機能に大きな影響を与える可能性があります。そのため、症状の大小にかかわらず、違和感を覚えた時点で、早めの受診をおすすめします。
池田動物病院での診断・治療
当院では、目や耳のできものに対して、以下のような対応を行っています。
<診断方法>
・スリットランプ検査
・眼圧測定
・眼底検査
・耳道内視鏡検査
・超音波エコー検査
・必要に応じて細胞診・病理検査
<治療方法>
当院では、目・耳周辺のできものに対して、以下のような手術を行うことが可能です。
◆ 眼科手術
視機能を優先しながら、まぶたのできものをできるだけきれいに除去します。たとえば「クライオサージェリー(液体窒素による冷却治療)」も選択肢となり、短時間・麻酔負担を抑えて取り除くことが可能です。
クライオサージェリーについてはこちら
なお、眼球の手術やより高度な眼科治療が必要と判断される場合には、眼科専門病院をご紹介しています。
◆ 形成手術
ただ除去するのではなく、まぶたの形を整えて視覚の機能回復を目指す再建手術にも対応しています。
◆ 耳科手術
耳道内のできものには、周囲組織とのバランスに配慮しながら腫瘍を除去する手術を行います。聴力の維持を重視しつつ、安全な手術を心がけています。
また、術後には感染対策・疼痛管理・栄養指導・生活ケアを含め、トータルでサポートしています。
日常生活での注意点と予防
目や耳のまわりは敏感な部位であるだけでなく、トラブルに気づきにくいことも多いため、日頃のちょっとした心がけが早期発見・予防につながります。
◆ 定期的な観察とスキンシップを習慣に
日々のブラッシングやスキンシップの際に、目のまわりや耳のつけ根にしこり・赤み・腫れなどの変化がないかチェックしましょう。
目ヤニが増えていないか、耳の中に違和感がないかも合わせて確認することが大切です。
◆ 掻き壊し・こすり行動に要注意
目や耳まわりに違和感があると、犬や猫は前足でこすったり、壁に顔を擦りつけたりすることがあります。こうした行動が見られたら、かゆみや痛みのサインかもしれません。
◆ シャンプーやトリミング時のケアも重要
洗顔や耳掃除の際は、強くこすらず、低刺激のケア用品を使うことがポイントです。耳の奥を綿棒で掃除するのは避け、表面の汚れをやさしく拭き取る程度にとどめましょう。過度な刺激や傷ができると、皮膚炎やできもののリスクが高まります。
◆ 定期健診でチェックを
目や耳の中は家庭では確認が難しいため、定期的な動物病院での健診も予防のひとつです。早期に腫瘍や炎症の兆候を発見することができれば、治療の選択肢も広がります。
シリーズ総括とまとめ
シリーズ最終回の今回は、目・耳周辺のできものに焦点を当てて解説していきました。目と耳はデリケートな器官であり、できものが機能に直接影響する可能性が考えられます。そのため、症状やサイズの大小にかかわらず、できものを発見したらなるべく早めに動物病院を受診するようにしましょう。
繰り返しになりますが、犬や猫の長寿化に伴い、「できもの」は増加傾向にあります。できものはイボから悪性腫瘍までさまざまなものがあり、早期の段階で適切に診断を受けることが重要です。そのため、日頃の健康観察に加え、動物病院での定期検診もぜひ活用してみてください。
「少し気になるな」と思った時点で、遠慮なくご相談ください。
世田谷区の成城通り病院と祖師谷通り病院の2拠点で、身近な街の動物病院として診療を行っている「池田動物病院グループ」












