犬・猫の体調チェックポイント|日常のケアで気づける小さなサイン
- 総合診療
犬や猫と暮らしていると「いつも通りに見えるのに、なんとなく違う気がする…」と感じることがあるかもしれません。はっきりした理由は言えないけれど、目つきや動き、触ったときの感触などが“いつもと違う”。この飼い主様の直感は、実はとても大切です。
犬や猫は、本能的に弱った様子を隠そうとすることがあります。そのため、はっきりした症状が出たときには、すでに不調が進んでいることも少なくありません。だからこそ、症状としてはっきり現れる前の小さな変化に気づけるかどうかが、早期発見につながります。
また、日常のシャンプーやブラッシング、なでる時間は、実は健康チェックのよい機会でもあります。特別な道具や知識がなくても、毎日の中で気づけるサインはたくさんあります。
今回は、犬・猫の体調チェックポイントとして、日常のケアの中で確認できる“見た目や仕草の変化”を、わかりやすくご紹介します。

■目次
1.チェックは「部分ごと」ではなく、“ひと通りセット”で見る
2.顔まわりのチェックポイント(目・鼻・口・耳)
3.体のチェックポイント(お腹・皮膚・全体の様子)
4.こんなときは相談を|受診の目安
5.まとめ
チェックは「部分ごと」ではなく、“ひと通りセット”で見る
体調チェックは「目だけ」「耳だけ」と部分的に見るよりも、顔→体→おしり周りと順番を決めて“セット”で確認する方が、変化に気づきやすくなります。毎回同じ順番で見ていくことで「前回と比べてどうか」がわかりやすくなるからです。
ポイントは次の3つです。
1. 昨日や先週と比べて変わったところはないか
2. 左右差はないか(片目だけ赤い、片耳だけにおうなど)
3. 元気・食欲・体重・毛ヅヤなど、全体のバランスに変化はないか
毎日完璧にチェックする必要はありません。大切なのは、飼い主様が続けられる形で、ルーティンにすることです。たとえば「散歩から帰ったら顔まわりだけ」「ブラッシングの日は全身を一周」など、生活に合わせて“自分ルール”を作ってみてください。
顔まわりのチェックポイント(目・鼻・口・耳)

顔まわりは変化が出やすく、飼い主様も気づきやすい場所です。ここでは、見た目だけでなく、においやしぐさもあわせて見ていきましょう。
1. 目
目は変化が出やすい場所のひとつです。まずは、涙や目やにの量と色、そして左右差がないかを見てみてください。
〈チェックしたいこと〉
✔️ 涙の量が増えていないか、または減っていないか
✔️ 目やにの色は透明か、黄色や緑色ではないか
✔️ 充血や腫れはないか
✔️ まぶしそうにしていないか
✔️ 急に目をしょぼしょぼさせていないか
✔️ 左右の目の開き方や大きさに違いはないか
〈気になるサインの例〉
・涙が増える:目の炎症やアレルギーなどが関係することがあります
・黄色っぽい目やに:細菌が関係している可能性があります
・目がしょぼしょぼする:痛みや異物、角膜の傷などが関係していることがあります
・片目だけおかしい:外傷、異物、できものなどが隠れていることもあります
「片目だけ」「急にしょぼしょぼする」といった変化は、早めに動物病院に相談すると安心です。
2. 鼻
鼻は見た目だけでなく、呼吸の音やしぐさも大切な手がかりになります。
〈チェックしたいこと〉
✔️ 鼻水が出ていないか
✔️ 鼻水が透明か、色がついているか
✔️ くしゃみが続いていないか
✔️ 鼻まわりに赤みや黒ずみ、脱毛がないか
✔️ 呼吸が苦しそうではないか(息が荒い、胸やお腹が大きく動くなど)
犬でみられる「ブーブーッ」と豚のように息を吸い込むしぐさは、逆くしゃみと呼ばれることがあります。数十秒から1分ほどで落ち着くこともありますが、頻度が増えたり、呼吸が苦しそうだったりする場合は早めに受診しましょう。
〈気になるサインの例〉
・鼻水やくしゃみが続く:感染症やアレルギーなどが関係することがあります
・呼吸が苦しそう:呼吸器や心臓の病気が隠れていることもあります
3. 耳
耳のトラブルは、におい、汚れ、かゆがる様子として現れやすいのが特徴です。
〈チェックしたいこと〉
✔️ 汚れの量や色(黒っぽい、茶色い、べたつくなど)
✔️ 耳の中に赤みがないか
✔️ においが強くなっていないか
✔️ 頭を振る、耳を掻く、触られるのを嫌がるなどのしぐさがないか
〈気になるサインの例〉
・黒い汚れが多い:外耳炎や耳ダニが関係することがあります
・においが強い:細菌や真菌(カビの仲間)が関係することがあります
耳掃除を自宅で頑張りすぎると、かえって悪化することもあります。においや赤み、かゆみが強いときは、病院で確認してもらいましょう。
目・耳周辺のできものについては、こちらの記事で詳しくご紹介しています
4. 口・喉
口は見落とされやすい場所ですが、体の状態が表れやすいことがあります。無理に口を開けようとせず、見られる範囲で確認してみましょう。
〈チェックしたいこと〉
✔️よだれの量が急に増えていないか
✔️歯ぐきがいつものピンク色か
✔️口臭が急に強くなっていないか
〈気になるサインの例〉
・歯ぐきが白っぽい:貧血などが関係することがあります
・口臭が強い:歯周病や口のトラブルのほか、体調不良が隠れていることもあります
・よだれが増える:口の痛み、異物、吐き気などが関係することがあります
また「口に触られるのを嫌がる」「片側でしか噛まない」といった様子も、口の痛みのサインになることがあります。
口の中のできものについては、こちらの記事で詳しくご紹介しています
体のチェックポイント(お腹・皮膚・全体の様子)

顔まわりを確認したあとは、体全体にも触れながら、見た目だけでは気づきにくい変化がないかを見ていきましょう。
1. お腹・体全体
ブラッシングや抱っこのときに、手のひらでそっと触れてみてください。
〈チェックしたいこと〉
✔️お腹が張っていないか
✔️しこりがないか
✔️急にできたものはないか
✔️触ると嫌がる、逃げるなど、痛そうな反応はないか
✔️左右で触り心地に違いがないか
〈気になるサインの例〉
・硬いしこり:できものの可能性があります
・お腹がふくらんで見える:内臓の病気や腹水などが関係していることもあります
しこりは小さいうちは様子を見てしまいがちですが、気づいたときに一度動物病院で相談しておくと安心です。
皮膚のできものについては、こちらの記事で詳しくご紹介しています
2. 皮膚・被毛
皮膚や被毛は、日常のケアの中で最も変化に気づきやすい場所のひとつです。
〈チェックしたいこと〉
✔️赤み、ブツブツ、フケがないか
✔️毛が薄くなっている部分はないか
✔️左右差や部分的な脱毛はないか
✔️べたつき、乾燥、においはないか
✔️掻く、舐める、こするといったかゆがる様子はないか
〈気になるサインの例〉
・かゆみが強い:アレルギーや皮膚炎が関係することがあります
・部分的な脱毛:感染症やホルモンの影響が隠れていることもあります
3. おしり周り
おしり周りは見えにくく、ついチェックが後回しになりがちな場所です。ただ、トラブルがあると、おしりを気にしたり、床にこすりつけたりする様子が見られることがあります。
〈チェックしたいこと〉
✔️おしりを床にこすりつける
✔️肛門まわりに赤みや腫れ、ただれがないか
✔️イボやしこりがないか
✔️触ると嫌がる、怒るなど痛そうな様子がないか
〈気になるサインの例〉
・おしりをこすりつける:肛門腺のトラブルが関係することがあります
・しこりがある:できものが隠れていることがあります
こんなときは相談を|受診の目安
次のような様子があるときは、早めに動物病院へ相談しましょう。
・同じ症状が数日続いている
・同じような症状を繰り返している
・少しずつ悪化している
・元気や食欲が落ちている
・体重が変わってきた
・「なんとなくいつもと違う」という違和感が続く
早めに相談することで、結果的に負担の少ない治療につながることもあります。
「これくらいで相談していいのかな」と迷うときこそ、飼い主様が感じた違和感を大切にしてください。
まとめ
シャンプーやブラッシングは、見た目を整えるためだけのケアではありません。
目、鼻、口、耳、お腹、皮膚、そしておしり周りまで、全身をひと通り見て触る習慣をつけることで、小さな変化に気づきやすくなります。
当院でも、診療のときはもちろん、トリミングなどの場面でも全身の状態を確認しながら、その子にとっての「いつも」を把握することを大切にしています。
気になることがあれば、どうぞ遠慮なくご相談ください。
世田谷区の成城通り病院と祖師谷通り病院の2拠点で、身近な街の動物病院として診療を行っている「池田動物病院グループ」












