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猫の嘔吐、毛玉だけが原因じゃない?|病気の可能性と見分け方

  • 内科 循環器科 腫瘍科

猫は犬と比べて日常的に吐くことが多い動物ですが、飼い主様の中には「また吐いているけど大丈夫かな?」と不安に感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

実際のところ、特に問題がないケースもありますが、消化器疾患など重大な病気が隠れている場合もあるため注意が必要です。

 

今回は、猫が吐く原因としてよく見られる「毛球症」から、注意すべき消化器系の病気までを詳しく解説します。

■目次
1.猫の嘔吐の種類と特徴
2.嘔吐と似た症状「逆流(吐出)」とは?
3.嘔吐が起こる主な原因とは?
4.嘔吐の原因となる主な消化器疾患
5.要注意!すぐに受診が必要な症状とは?
6.診断方法
7.治療方法
8.よくある質問
9.まとめ

 

 

猫の嘔吐の種類と特徴

猫が吐き出すものにはいくつか種類があり、それぞれ特徴があります。原因を見極めるためには、吐いたものの状態をよく観察することが大切です。

 

・毛球
毛の長さや色によって見た目が違いますが、毛がフェルト状に固まって出てくることもよくあります。

 

・食べ物
吐き出されたものの形状は、食べてからの時間によって異なります。未消化の固形物から、消化が進んで泥状になったものまでさまざまです。

 

・胃液
透明〜薄い黄色の液体で、白い泡が混じることもあります。空腹時やストレスが原因となることが多いです。

 

猫が数日に1回吐く程度で元気や食欲に変化がない場合、大きな問題ではないことが多いです。ただし、1日のうちに何度も繰り返して吐いてしまうような場合は、病気の可能性が考えられますので、早めに動物病院へ相談しましょう。

 

さらに、慢性的に吐いている場合でも、その頻度が増えてきたと感じたら注意が必要です。これらの症状は隠れた病気のサインかもしれないため、愛猫の様子を普段からよく観察することが大切です。

 

 

 

嘔吐と似た症状「逆流(吐出)」とは?

嘔吐と混同しやすい症状に、「逆流(吐出)」があります。嘔吐とは原因が異なるため、見分けが大切です。

 

<嘔吐>

胃の中の内容物が口から排出される現象です。吐く前に、お腹が波打つような動きや苦しそうな様子が見られるのが特徴です。

 

<逆流(吐出)>

食道内にある液体や食べ物が、突然口から排出されます。嘔吐とは違い、食べたばかりの未消化の食べ物がそのまま出てくることが多いです。
吐出は主に食道の異常によって起こりますが、原因はさまざまです。例えば、食道拡張症(巨大食道症)や食道狭窄では、食べ物がうまく胃まで運ばれずに戻ってきてしまうことがあります。

 

 

 

嘔吐が起こる主な原因とは?

猫が嘔吐してしまう原因はいくつか考えられ、日常のちょっとしたことから、病気のサインまでさまざまです。

 

・毛球症
猫は毛づくろいを日常的に行い、飲み込んだ毛を吐き戻すことがあります。特に長毛種の猫では、毛がフェルト状に固まって出てくることがあり、毛球症を防ぐケアが必要になる場合もあります。

 

・食事に関連する原因
一気に大量の食事を食べた場合や、空腹の時間が長すぎた場合に吐いてしまうことがあります。特に早食いをしがちな猫は吐きやすい傾向があります。

 

・ストレスによるもの
環境の変化やストレスも嘔吐の原因になることがあります。
例えば、留守番が長く続く、工事の騒音や来客、引っ越しなど、猫が不安や緊張を感じる状況では吐いてしまうことがあります。

 

・病気のサイン
嘔吐は、消化器疾患だけでなく腎不全や尿路系の疾患など、さまざまな病気の症状として現れることがあります。猫の炎症性腸疾患(IBD)も、嘔吐の代表的な原因ではありませんが、可能性として十分に考えられます。
この場合、嘔吐以外にも元気がない、食欲が落ちる、下痢をするといった症状が一緒に見られることが多いため、注意が必要です。

 

また、飲水量の増加も見逃せないサインのひとつです。いつもより頻繁に水を飲んでいる、給水器の減りが早いと感じる場合は、腎臓やホルモンに関わる病気が隠れている可能性もあります。

 

 

 

嘔吐の原因となる主な消化器疾患

猫の嘔吐は、消化器に関わる病気が隠れていることがあります。ここでは、嘔吐の原因となる代表的な消化器疾患についてご紹介します。

 

<胃の病気>

・急性胃炎、慢性胃炎
急性胃炎は、胃の粘膜に突然炎症が起こる状態で、食べてはいけない植物や食物を誤って口にしたことが原因になることが多いです。
また、細菌が原因となる食中毒が関係しているケースもあり、傷んだ食べ物や落ちていたものを口にした後に症状が出ることがあります。

一方、炎症が繰り返し起き、1週間以上続く場合は慢性胃炎と呼ばれます。

 

・胃潰瘍
胃の粘膜が傷つき、一部が欠損してしまう状態です。原因としては、薬剤の副作用、腫瘍、重度のストレス、慢性的な胃炎などが挙げられます。

 

<腸の病気>

・腸閉塞
異物や腫瘍などが原因で腸がふさがる状態です。誤食や腸の病気が主な原因で、嘔吐、食欲不振、腹痛、元気消失などの症状が現れます。放置すると腸が壊死し、命に関わることもあるため、早めの治療が必要です。

 

・消化管リンパ腫
腸や胃などの消化管に発生する悪性腫瘍で、特に高齢の猫に多く見られます。嘔吐や下痢、体重減少などの症状が現れることが多く、早期発見と適切な治療が重要です。

 

<肝臓・膵臓の病気>

・肝炎
肝臓に炎症が起こる病気で、細菌感染、毒物、免疫異常、慢性的な炎症や腫瘍などが原因となります。食欲不振や嘔吐のほか、黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)、元気の低下などの症状が見られます。

 

・膵炎
膵臓に炎症が起こる病気で、急性と慢性のタイプがあります。
急性膵炎では食欲不振、元気消失、嘔吐、腹痛などが見られ、重症化すると命に関わることもあります。
一方、慢性膵炎では症状がはっきりしないことが多く、軽い嘔吐や食欲低下が続く場合もあります。

 

これらの病気は、嘔吐だけでなく食欲不振や元気の低下などの症状を伴うことが多いです。愛猫の普段の様子をしっかり観察し、少しでも気になる症状があれば早めに動物病院で相談しましょう。

 

 

 

要注意!すぐに受診が必要な症状とは?

愛猫に以下のような症状が見られる場合は、緊急性が高い可能性があるため、すぐに動物病院に相談しましょう。

 

・嘔吐が急に頻繁に起こる
1日に3回以上吐く場合や内容物がないのに吐き続ける場合は、脱水を引き起こすことがあり、早急な対応が必要です。

 

・食欲がない
1日以上ご飯を食べない場合や、食欲が低下した状態が1週間以上続く場合、何らかの病気が隠れている可能性があります。

 

・排尿が少ない(脱水の可能性)
嘔吐が続くと体内の水分が失われ、脱水を引き起こすことがあります。脱水が進行すると排尿量が減ることがありますが、腎臓の病気や尿路の異常が原因の可能性もあるため、注意が必要です。

 

・血液が混ざっている
嘔吐物に血が混ざっている場合は、消化管の粘膜が傷ついている、潰瘍ができている、重度の炎症があるなどの可能性があります。
鮮血の場合は口腔や食道、胃の出血、暗赤色や黒っぽい血液が混ざっている場合は、胃や腸からの出血が疑われます。

 

 

 

診断方法

嘔吐の症状で動物病院を受診すると、一般的に以下の流れで診察が進みます。

 

<問診>

まずは飼い主様から詳しいお話を伺います。以下のような点を確認されることが多いです。

 

・嘔吐が始まったのはいつからか
・嘔吐の頻度や吐物状態
・普段の食事内容や最近の環境の変化
・おもちゃやビニール袋など、異物を食べる癖があるか

 

<検査>

問診の内容に基づいて、必要に応じた検査が行われます。

 

血液検査:体内に炎症があるかどうかに加えて、腎臓・肝臓・膵臓といった臓器の機能に異常がないかを確認します。

 

レントゲン検査:消化管内の異物の有無や、食道や腹部臓器の大きさ・形状を評価します。場合によっては造影剤を使った詳細な検査が行われることもあります。

 

超音波検査:超音波を使って消化管や内臓の状態を詳しく観察する検査です。消化管の壁の厚さや層構造、腫瘍、炎症、液体の貯留(腹水など)を評価するのに有効です。

 

 

 

治療方法

嘔吐の原因が特定されると、その結果に応じた適切な治療が行われます。治療方法は主に以下のようなものがあります。

 

<内科治療>

内服薬や注射:吐き気を抑える薬や、脱水や電解質の異常を補正するための点滴が使用されます。

 

食事の変更消化しやすい特別なフードや療法食に切り替えると、胃腸の負担を軽減できます。さらに、1回の食事量を減らして回数を増やすと、より負担を和らげることができます。

 

<外科治療>

誤って飲み込んだおもちゃやビニールなどが消化管に詰まってしまった場合、これらを取り除くための処置が行われます。
内視鏡で取り出せるケースもありますが、異物の大きさや場所、そして形状によっては開腹手術が必要になることもあります。

 

例えば、掴みやすい形のものであれば取り出しやすいこともありますが、たとえ小さくても鋭利なものは、食道や消化管を傷つけるおそれがあるため、慎重な対応が必要です。
また、ひも状のものは腸に絡まるリスクがあり、無理に引き出すとかえって危険です。

 

 

 

よくある質問

Q.毛玉による嘔吐を防ぐことはできますか?

A.はい、予防する方法があります。定期的にブラッシングをしてあげることで、猫が毛づくろいで飲み込む抜け毛を減らすことができます。また、毛玉対策用のフードを与えるのも効果的です。

 

Q.うちの猫の嘔吐の頻度が気になります。どのくらいの頻度であれば心配ないでしょうか?

A.一般的には、1週間に1~2回程度の嘔吐であれば大きな問題ではないことが多いです。
ただし、嘔吐の頻度が増えたり、食欲がなくなったり、体重が減少している場合には注意が必要です。他の症状が見られる場合は、早めに動物病院を受診しましょう。

 

Q.嘔吐した場合、食事の回数や量を変えた方がいいですか?

A.一度にたくさん食べたり、空腹の時間が長くなると嘔吐しやすくなるため、1回の量を少なめにし、1日4~6回程度に分けて与えるのがおすすめです。

 

また、置きエサをしていると短時間で食べ過ぎたり、逆に長時間食べない状態が続いたりすることがあり、嘔吐の原因になることがあります。
嘔吐が続く場合は置きエサを控え、決まった時間に少量ずつ与える方法に切り替えるとよいでしょう。

 

 

 

まとめ

猫の嘔吐には、日常的な毛玉によるものから、病気が原因のものまでさまざまな可能性があります。
「きっと毛玉が原因だろう」と油断してしまうと、病気の発見が遅れて治療が難しくなったり、入院が必要になったりする場合もあります。

愛猫の様子がいつもと違うと感じたら、早めに動物病院に相談することで、体への負担を減らし、元気な状態を保ちやすくなります。

 

 

世田谷区上祖師谷の成城通り病院「池田動物病院」

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