下痢が治らない、太る、毛が薄い…それ“ホルモン”が原因かも|犬・猫の内分泌疾患ってなに?
- 内科 循環器科 腫瘍科
「愛犬の下痢がなかなか治らない」
「愛猫は年齢のせいで、元気が落ちてきたのかな…」
そんなふうに、はっきりとした原因が分からない不調が続くと、飼い主様は不安になりますよね。フードを変えたり、胃腸の薬を続けたりしても、なかなか良くならないと、なおさら迷いや心配が大きくなると思います。
実は、こうした症状の一部は、消化器(胃腸)や皮膚の問題だけではなく、「ホルモンの乱れ(内分泌疾患)」が関係していることがあります。
今回は、ホルモンとは何か、なぜさまざまな症状が出るのかという基本から、動物病院でどのように検査を進めていくのかまでを分かりやすくご紹介します。

■目次
1.そもそもホルモンってなに?
2.内分泌疾患(ホルモンの病気)とは?
3.他の病気や加齢と「勘違いしやすい」5つの違和感
4.動物病院で行う検査のステップ
5.まとめ
そもそもホルモンってなに?

ホルモンは、体の中で作られ、血液にのって全身に運ばれながら、さまざまな臓器や組織に「こう動いてね」と指示を出す“指令役”のような存在です。
たとえば、以下のような体の働きは、ホルモンと深く関わっています。
・体重の増え方・減り方(代謝)
・元気の出方や活動量
・水を飲む量と、尿の量
・皮膚や被毛の状態、毛ヅヤ
・胃腸などのお腹の調子
このように、ホルモンは一か所だけを動かしているわけではありません。体全体のバランスを絶妙にコントロールしているため、どこか一つのホルモンが乱れるだけでも「体のあちこちに、一見ばらばらに見える不調」として現れやすくなるのです。
内分泌疾患(ホルモンの病気)とは?
内分泌疾患とは、ホルモンの量や働き方が乱れることで、体のバランスが崩れてしまう病気の総称です。大きく分けると、次の3つのパターンがあります。
1. ホルモンが多すぎる
2. ホルモンが足りない
3. ホルモンは出ているのに、体がうまく反応できない
このように、ホルモンの異常にはいくつかのタイプがあります。
さらに、ホルモンの乱れによる変化は、加齢に伴う変化(元気が落ちる、筋肉が減る、毛ヅヤが落ちる、動きがゆっくりになるなど)と非常に似ています。
そのため、飼い主様が「年齢のせいかな」と思って様子を見ることも少なくありません。
他の病気や加齢と「勘違いしやすい」5つの違和感

単発の下痢や一時的な食欲不振であれば、軽い体調不良のこともあります。
しかし、次のような症状が「長引く」「繰り返す」「いくつか重なる」ときは、ホルモンの乱れが関係しているかもしれません。
ここでは、飼い主様が見落としやすいポイントとあわせてご紹介します。
① お腹の不調を繰り返す(下痢・便秘・嘔吐)
「ただの胃腸炎かな」と思い、整腸剤やフードの調整で一度は落ち着くものの、しばらくするとまた同じ症状を繰り返すケースです。
お腹の治療を続けても改善しないときほど、胃腸以外の原因も考える必要があります。
② 体重や食欲のつじつまが合わない
しっかり食べているのに痩せていく、食事量は変わらないのに太るといった変化です。
食べているから大丈夫だと思ったり、逆に体重の増加をフードのせいと考えたりしがちですが、代謝に関わるホルモンの異常が隠れていることがあります。
③ 水を飲む量や尿の量が明らかに増えた(多飲多尿)
何度も器の水を足すようになったり、おしっこの量が増えて粗相をしたりします。
「暑いからかな」「年齢のせいかな」と見過ごされやすいですが、体の中の水分調整がうまくいっていないサインのことがあります。
④ 皮膚や被毛のトラブルが治らない
全体的に毛が薄くなる、左右対称に脱毛する、フケやベタつきが増えて皮膚炎を繰り返すといった症状です。
「皮膚病」としてシャンプーや塗り薬だけで治療を続けていても、もとの原因がホルモンの異常であれば、なかなか改善しないことがあります。
⑤ 元気や行動の変化(活動低下・落ち着きのなさ)
散歩で疲れやすくなったり、寝ている時間が急に増えたりすることがあります。
これらは「もうシニアだから」と年齢のせいにされやすいものですが、適切な治療によって改善が期待できる場合もあります。
動物病院で行う検査のステップ
内分泌疾患が疑われるからといって、いきなり特殊なホルモン検査だけを行うわけではありません。
当院では、愛犬・愛猫の体への負担にも配慮しながら、次のような流れで丁寧に診断を進めていきます。
・問診・身体検査
症状がいつから続いているか、食事内容や水を飲む量、尿の変化、普段の行動などに変化がないか、飼い主様からお話を伺い、優しく体を触って診察します。
・全身状態の把握
血液検査、尿検査、便検査などをおこないます。
ここでは、脱水の有無、炎症の有無、臓器の状態、尿の濃さなど、診断に欠かせない大切な情報を集めていきます。
・画像検査(必要に応じて)
超音波(エコー)検査やレントゲン検査を組み合わせて、副腎や甲状腺、膵臓などの大きさや形に異常がないかを視覚的に確認します。
・ホルモンの追加検査
ホルモンの病気が疑われる場合には、さらに詳しく調べるための追加検査を行うことがあります。
たとえば、甲状腺ホルモンの値を確認する検査や副腎の働きを調べる検査、糖尿病が疑われる場合の血糖値の確認などを行います。
また、ホルモン検査は、測るタイミングや条件で結果が変わることもあるため、一回だけの数値で決めつけず、ここまでの検査結果とあわせて総合的に判断します。
ホルモンの病気についてもっと詳しく知りたい方へ
一言で「ホルモンの病気」と言っても、原因となる臓器や乱れるホルモンの種類によって、さまざまな病気があります。愛犬・愛猫に気になる症状がある方は、こちらの記事をぜひ参考にしてみてください。
>> 犬・猫のホルモンの病気とは?よくある症状と代表的な病気一覧
まとめ
ホルモンは、体全体のバランスを保つ大切な役割を担っています。
そのため、ホルモンの病気では「下痢」「脱毛」「体重の変化」「飲水量の変化」など、一見すると別々に見える症状が現れることがあります。
胃腸の薬を続けてもなかなか良くならないときや、気になる症状がいくつか重なっているときは、自己判断で様子を見続けるのではなく、一度検査で原因を整理してあげることが安心につながります。
早めに原因が分かれば、それだけその子に合った治療を考えやすくなります。
「うちの子、もしかして…」と気になる変化があるときは、早めに動物病院にご相談ください。
世田谷区の成城通り病院と祖師谷通り病院の2拠点で、身近な街の動物病院として診療を行っている「池田動物病院グループ」












