犬・猫の「臭い」は病気のサイン?口臭・耳・皮膚・お尻の匂いで気づく不調
- 総合診療
「最近、口の臭いが強くなった気がする」
「耳をめくると嫌な臭いがする」
「体をなでるとベタついていて、以前とは違う臭いがする」
このような変化に気づいたことはありませんか。
犬や猫にはそれぞれ特有の体臭がありますが、以前は気にならなかった場所から臭いがするようになった場合は、体に何らかの変化が起きている可能性があります。
一方で、毎日一緒に暮らしている飼い主様は、その子の匂いに慣れているため、変化に気づきにくいことも少なくありません。家族や来客から「少し臭うね」と言われ、初めて気づくこともあります。
「犬だから多少臭うのは仕方がない」「猫だから大丈夫」と考えず、普段との違いに目を向けることが大切です。
今回は、犬や猫の「いつもと違う臭い」から考えられる原因と、あわせて確認したい症状、動物病院へ相談する目安について解説します。

■目次
1.臭いは全身の健康状態を知る手がかりになります
2.口の臭い
3.耳の臭い
4.鼻や目やにの臭い
5.皮膚や体の臭い
6.足の臭い
7.陰部・お尻・尿や便が臭う|体の「出口」も重要な手がかり
8.まとめ
臭いは全身の健康状態を知る手がかりになります
臭いが気になる場所というと、まず口を思い浮かべる飼い主様が多いかもしれません。
しかし、実際に確認したいのは口だけではありません。犬や猫では、次のような場所から臭いの変化が表れることがあります。
・口
・鼻
・目やに
・耳
・皮膚
・足
・陰部
・お尻
・尿や便
臭いの原因は、臭っている場所だけにあるとは限りません。
例えば、口臭は食べ物や歯の問題だけでなく、体の中で栄養や老廃物を処理する働きや、内臓の病気が関係していることがあります。
一方、尿や便は、体の中を通って排出されるものです。そのため、口という「入り口」の臭いと、尿や便という「出口」の臭いをあわせて確認すると、全身の状態を考える手がかりになります。
臭いだけで病気を判断することはできませんが、「どこから臭うのか」「いつから変わったのか」「ほかに症状がないか」を丁寧に確認することが大切です。
口の臭い
犬や猫の口が臭う原因はさまざまです。
食べたものの匂いが一時的に残っていることもありますが、歯石や歯ぐきの炎症、口内炎、口の中のできものなどが原因になることもあります。
また、口の中に目立った異常がなくても、腎臓や肝臓などの病気、体の中で栄養や老廃物を処理する働きの変化によって口臭が強くなる場合があります。
そのため、口臭だけを見て「歯の汚れだろう」と決めつけることはできません。
次のような変化がある場合は、一度状態を確認しましょう。
・以前より口臭が強くなった
・急に臭いの種類が変わった
・よだれが増えた
・食べにくそうにしている
・口元に触られるのを嫌がる
口の中だけでなく、食欲や飲水量、尿や便の変化もあわせて伝えていただくと、診察の手がかりになります。
耳の臭い
耳の中で炎症が起きると、耳垢が増えたり、独特の臭いがしたりすることがあります。細菌やカビの仲間、耳ダニなどが関係している場合もあります。
耳の臭いに加えて、次のような様子が見られないか確認してください。
・耳を頻繁にかく
・頭を何度も振る
・耳の中が赤い
・黒色や茶色の耳垢が増えた
・耳に触られるのを嫌がる
・頭を傾けている
耳掃除をすると一時的に臭いが弱くなることがありますが、炎症が治ったとは限りません。綿棒などで耳の奥まで掃除すると、耳垢を押し込んだり、耳の中を傷つけたりする恐れもあります。
臭いが繰り返す場合や、赤み・かゆみを伴う場合は、掃除だけで済ませず動物病院で原因を確認しましょう。
鼻や目やにの臭い
健康な状態では、鼻水や目やにから強い臭いがすることはあまりありません。
臭いを伴う鼻水や目やにが増えた場合は、目や鼻の周りで炎症や感染が起きている可能性があります。
次のような変化がある場合は注意が必要です。
・黄色や緑色の鼻水が出る
・粘り気のある目やにが増えた
・片側だけ鼻水や目やにが出る
・目の周りが赤い
・顔を前足でこする
・くしゃみが続く
鼻や目の症状でも、歯の根元や口の中の病気が関係していることがあります。臭っている場所だけでなく、周囲を含めて確認することが大切です。
皮膚や体の臭い
体臭が強くなった、なでた手がベタベタする、毛が脂っぽくなったという変化は、皮膚の状態が崩れているサインかもしれません。
考えられる原因には、次のようなものがあります。
・皮膚炎
・アレルギー
・細菌やマラセチアの増加
・皮脂の分泌バランスの乱れ
・甲状腺や副腎などのホルモンの病気
皮膚の病気があると、臭いだけでなく、赤み、フケ、脱毛、黒ずみなどが見られることがあります。犬や猫が体をかく、なめる、床にこすりつけるといった行動も、かゆみや違和感のサインです。
シャンプーをしても短期間で臭いが戻る場合は、皮膚の表面だけではなく、アレルギーやホルモンの病気などが関係している可能性があります。
また、洗いすぎるとかえって皮膚のバリア機能が乱れ、症状が悪化することもあります。シャンプーを繰り返すだけで様子を見ず、皮膚の状態や全身の体調を確認することが大切です。
アレルギー性皮膚炎については、こちらの記事で詳しくご紹介しています
アトピー性皮膚炎については、こちらの記事で詳しくご紹介しています
足の臭い
足は、通常それほど強い臭いが気にならない場所です。そのため、「最近、足先が臭う」と感じたときは、指の間や爪を確認してみましょう。
足の臭いの原因として、次のような異常が見つかることがあります。
・指の間の皮膚炎
・細菌やマラセチアの増加
・爪の伸びすぎや変形
・爪の根元の炎症
・傷や異物
・足先のなめすぎによる皮膚の悪化
散歩後に泥や汚れが付着し、一時的に臭うこともあります。しかし、洗っても臭いが続く場合や、赤み・かゆみを伴う場合は、皮膚炎などが隠れている可能性があります。
臭いだけを消そうとするのではなく、指の間や爪に痛みや炎症がないかを確認してください。
陰部・お尻・尿や便が臭う|体の「出口」も重要な手がかり
口が食べ物や水の入り口なら、尿や便、陰部、お尻は、体から不要なものを出す出口です。出口の臭いの変化も、体調を知る大切な手がかりになります。
陰部やお尻、排泄物の臭いが変わる原因には、次のようなものがあります。
・膀胱炎など尿路のトラブル
・腎臓病や糖尿病
・下痢や消化不良
・肛門腺に分泌物がたまる、炎症を起こす
・陰部周辺の皮膚炎
・子宮や前立腺などの病気
尿や便の臭いとあわせて、次のような変化がないか確認しましょう。
・尿の回数が増えた
・少量の尿を何度もする
・尿に血が混じる
・排尿時に痛そうにする
・便がゆるい状態が続く
・便の臭いが急に強くなった
・お尻を床にこすりつける
・陰部やお尻を頻繁になめる
・陰部から分泌物が出ている
肛門腺の分泌物は独特の強い臭いがしますが、頻繁に臭う場合や、お尻を気にしている場合は、分泌物がたまっていたり、炎症を起こしていたりする可能性があります。
受診時には、臭いが変わった時期に加え、排尿・排便の回数や色、量も伝えていただくと診察に役立ちます。
泌尿器の病気については、こちらの記事で詳しくご紹介しています
まとめ
犬や猫の口、耳、皮膚、足、陰部、お尻、尿や便などから感じる臭いは、体調の変化に気づくきっかけになります。
毎日一緒に暮らしていると匂いに慣れ、変化を見逃してしまうこともあります。そのため、「犬だから臭うもの」「猫だから仕方がない」と決めつけず、普段との違いを意識することが大切です。
臭いだけで原因を判断する必要はありません。「いつもと違う」「少し気になる」と感じたときは、その感覚を大切にし、当院までご相談ください。
世田谷区の成城通り病院と祖師谷通り病院の2拠点で、身近な街の動物病院として診療を行っている「池田動物病院グループ」












