健康診断で“見えない病気”を早めに見つける|年2回の定期健診のすすめ
- 総合診療
「元気そうだし、健康診断はまだ必要ないかも」と感じる飼い主様もいらっしゃるかもしれません。
ただ、犬の体の変化は、症状がはっきり出るころにはすでに病気が進んでいることもあります。だからこそ、体調が安定している時期に健康診断を受けておくことが大切です。
健康診断では、今の体の状態を確認できるだけでなく、その子の“いつもの状態”を記録しておけます。次回以降の変化にも気づきやすくなるため、早期発見・早期対応につながります。
この記事では、春と秋の年2回をお勧めする理由、健康診断で分かること、年齢別の頻度の目安、早めに見つけたい病気についてご紹介します。

■目次
1.健康診断を春におすすめする理由
2.秋にも検診をおすすめしたいわんちゃん
3.犬の健康診断とは?
4.健康診断で特に意識したい病気
5.犬の健康診断では何をする?
6.年齢別のおすすめ頻度
7.秋の健診キャンペーンのご案内
8.まとめ
健康診断を春におすすめする理由
健康診断は一年を通して受けられますが、特におすすめなのが春です。
春は、フィラリアやノミ・マダニ予防を始めるタイミングと重なり、1年の健康管理を見直しやすい時期だからです。
近年は、蚊やノミ・マダニの活動時期が長くなっていることもあり、予防の大切さはこれまで以上に高まっています。特にマダニは、冬でも日当たりの良い草地や公園で活動していることがあり、SFTS(重症熱性血小板減少症候群)という人にも犬にも重い症状を起こすウイルスを運ぶことが知られています。SFTSにはワクチンがなく「刺されないよう予防すること」が何より大切です。
SFTS(重症熱性血小板減少症候群)について、詳しくはこちらをご覧ください
当院では、フィラリアやノミ・マダニなどをまとめてカバーできる「オールインワンタイプ」の予防薬を採用しています。こうした予防は、できるだけ切れ目なく継続していくことが大切であり、当院では通年での予防をご提案しています。
予防接種について、詳しくはこちらをご覧ください
秋にも検診をおすすめしたいわんちゃん
春に健康診断を受けたあと、すべての犬が半年後に同じ内容の検査を受けなければならないわけではありません。
ここで整理しておきたいのが、「健康診断」と「定期検診」の違いです。
健康診断は、健康に見える犬に対して、どこかに隠れた異常がないかを確認するために行います。
一方で定期検診は、すでに経過を見ている病気がある場合や、以前の検査で気になる点があった場合に、その後の変化を確認するために行うものです。
〈秋の検診をおすすめしたいわんちゃん〉
・春の検診で経過観察になった子
・少し異常値があり、再チェックをすすめられた子
・持病がある子
・定期的にお薬を飲んでいる子
・過去に大きな手術をしたことがある子
・7歳以上のシニア犬
犬は人よりも早いスピードで年齢を重ねるため、半年の間にも体の状態が変わることがあります。
春の検診で気になる点があった場合や、シニア期に入っている場合は、秋の検診を上手に活用し、早めのケアにつなげていきましょう。
犬の健康診断とは?
健康診断は、病気を見つけるためだけのものではありません。
血液検査や尿検査、便検査、レントゲン検査、エコー検査などによって、愛犬の今の状態を記録し、将来の変化に備えるためのものでもあります。
たとえば、検査値が基準範囲内でも、以前と比べて少しずつ変化していることがあります。こうした小さな変化は、症状が出る前の大切なサインになることがあります。
「異常があったら怖い」と感じることもあると思いますが、早めに気づけることは安心にもつながります。
血液検査でわかることについては、当院のInstagram投稿でもわかりやすくご紹介しています。
詳しくはこちらをご覧ください。
健康診断で特に意識したい病気
健康診断では全身をバランスよく見ていきますが、その中でも犬で特に多く、症状が出にくいまま進行しやすい病気を重点的にチェックします。
・歯・口のトラブル
犬は猫と比べて歯石が非常につきやすい動物です。歯石がたまると、歯ぐきに炎症が起きて歯周病が進行し、歯がグラグラしたり抜けたりするだけでなく、歯周病菌が血液に入り込み、心臓や腎臓など全身の臓器に悪影響を及ぼすこともあります。
健康診断では、口臭や歯石の量、歯ぐきの状態を確認し、必要なタイミングで歯科処置や歯みがき指導をご提案します。
・膵炎などの消化器トラブル
食欲低下や嘔吐で気づかれることが多い膵炎も、犬で比較的よく見られる病気のひとつです。血液検査やエコー検査で、膵臓や周辺の臓器の状態を確認します。
・糖尿病などのホルモン疾患
「水をよく飲む」「おしっこの量が増えた」「食べているのに痩せる」といった変化は、糖尿病などのホルモンの病気が関係していることがあります。
血液検査や尿検査が早期発見のきっかけになります。
・心臓病
心臓病はどの犬にも起こりえますが、年齢とともに見られやすくなり、特に小型犬では注意が必要です。
初期には目立った症状が出にくいため、聴診や画像検査に加えて、必要に応じてBNP(心臓への負担をみる指標)なども参考にしながら状態を確認していきます。
近年は、心臓病に関する研究や治療の選択肢が進んできたことで、早い段階で異常に気づき、内服薬や生活管理を始めることで、つらい咳や呼吸困難が出る前から進行をゆるやかにできる可能性が広がっています。
さらに詳しい検査や治療が必要な場合は、専門病院をご紹介しながら、その子に合った方針を一緒に考えていきます。(当院内で心臓外科手術を行うのではなく、連携する専門施設への紹介という形になります。)
・腫瘍(しこり・がん)
触診で見つかる皮膚や皮下のしこりだけでなく、レントゲンやエコーで胸やお腹の中の腫瘤が見つかることもあります。
「全身の状態もあわせてしっかり確認したい」という場合には、より詳しい検査をまとめて行うDog Dockコース(犬の精密健診) をご提案しています。
Dog Dockコースでは、腫瘍の有無や他の臓器の状態をより細かくチェックできるため、心配な点がある飼い主様には安心材料になると思います。
「がんが心配」「腫瘍のリスクについて相談したい」という場合には、補助的な選択肢のひとつとして、尿を用いるがんリスク検査 N-Nose vet についてご案内できる場合があります。
ただし、検査結果だけでがんを確定できるものではないため、必要に応じて追加検査を組み合わせて判断していきます。
犬の健康診断では何をする?

健康診断は、すべての犬に同じ内容を行うわけではありません。
年齢や体質、生活スタイルに合わせて必要な検査を組み合わせていきます。
基本になるのは、問診と身体検査です。
食欲、飲水量、体重、排尿排便、行動の変化など、飼い主様からうかがう日常の情報も大切な手がかりになります。
そのうえで、血液検査や尿検査、便検査、レントゲン検査、エコー検査を追加していきます。
「どこまでやるべきか」で迷う場合は、どうぞ遠慮なくご相談ください。その子の年齢やリスクに合わせて、今優先したい検査をご一緒に考えます。
年齢別のおすすめ頻度
・子犬(〜1歳)
ワクチンや予防で通院する機会が多い時期です。日々の診察の中で、成長や体調の確認をこまめに行っていきます。
・成犬(1〜6歳目安)
元気に見える時期ですが、歯周病や膵炎、ホルモンの病気などの変化が少しずつ出てくることがあります。
年1回を目安に、春の予防シーズンにあわせて健康診断を受けておくと安心です。
・シニア(7歳〜)
7歳を過ぎると、心臓病や腎臓病、腫瘍などのリスクが高くなります。
見た目が元気でも、半年に1回(年2回)の健康診断をおすすめしています。
秋の健診キャンペーンのご案内
池田動物病院 成城通り病院では、9月中旬〜11月中旬の期間限定で「秋の健康診断キャンペーン」を実施予定です。血液検査・尿検査を含むベーシックなコースから、レントゲンやエコー検査までまとめて行えるコースまで、通常より受診しやすいセットプランをご用意しています。
キャンペーンのご予約・お問い合わせは、お電話(03-3300-5439)にて承っております。
※この記事は「成城通り病院」のご案内です。
まとめ
犬の健康診断は、病気を探すためだけでなく、元気なうちの状態を知っておくためにも大切です。
春の健診で経過観察になった子や、持病がある子、7歳以上のシニア犬では、秋にもう一度検診を受けることで、体の変化に早く気づけることがあります。
「まだ元気だから大丈夫」ではなく「元気な今だからこそ確認しておく」という意識が、将来の安心につながります。
気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。
世田谷区の成城通り病院と祖師谷通り病院の2拠点で、身近な街の動物病院として診療を行っている「池田動物病院グループ」












