犬や猫の老化を見逃さないために【前編】|目・耳・鼻・内臓の変化と対策
- 内科 循環器科 腫瘍科
犬や猫も人間と同じように、年齢を重ねるにつれて少しずつ体に変化が表れてきます。見た目だけでなく、目・耳・鼻といった感覚器官や、内臓の働きにも変化が起きることがあります。
「年だから仕方がない」と諦めてしまうのではなく、こうした変化にしっかりと向き合い、適切なケアや対策を行うことで、愛犬・愛猫が年を重ねても安心して穏やかな毎日を過ごすことができます。
そこで今回は、犬や猫の加齢によって起こる感覚器官や内臓機能の変化について、解説します。
※この記事は前編として、主に感覚器官と内臓の変化について取り上げます。後編では、皮膚や口腔ケア、そして季節ごとの対策について詳しくお伝えする予定です。

■目次
1.感覚器官の老化による変化とその対策
2.内臓機能の老化による変化とその対策
3.まとめ
感覚器官の老化による変化とその対策
犬や猫にとって、目・耳・鼻といった感覚器官は、安心して毎日を過ごすためにとても大切な役割を果たしています。
しかし、年齢を重ねるとともにこれらの機能が徐々に低下し、日常生活にもさまざまな影響が出るようになります。
ここでは、それぞれの感覚器官に見られる主な老化症状と、考えられる病気、そして日常で取り入れやすい対策についてご紹介します。

<視覚の低下>
◆ 主な症状
・物によくぶつかるようになる
・階段や段差を怖がる
・暗い場所で動きが鈍くなる
◆ 考えられる病気
白内障、網膜萎縮、緑内障 など
◆ 治療・対策
白内障は進行性の目の病気であり、進行してからでは視覚の回復が難しくなることもあるため、早期発見と定期的な眼科検査が重要です。
初期の白内障に対しては、進行をゆるやかにする目的で点眼薬などを使用することがありますが、その効果には個体差があり、すべての症例に有効というわけではありません。
また、白内障が進行し、視力に大きな影響が出ている場合には、状態によっては手術による視機能の改善を検討することもあります。ただし、手術の適応や効果については個々の症例によって異なるため、獣医師による詳しい診断が必要です。
また、緑内障に関しては、眼圧を下げる点眼薬を使用し、症状に応じて手術が検討されることもあります。
一方、網膜萎縮や加齢による視力の低下には、現在のところ根本的な治療法は確立されていません。そのため、見えにくくなった環境でも安心して過ごせるように、家具の配置を変えずに一定に保つ、家具の角にクッション材をつけて安全を確保するなど、生活環境を整えることが大切です。
<聴覚の低下>
◆ 主な症状
・名前を呼んでも反応しない
・物音やインターホンなどに驚かない
◆ 考えられる病気
加齢性の聴力低下、外耳炎・中耳炎の慢性化 など
◆ 治療・対策
外耳炎や中耳炎がある場合には、外耳道の炎症や汚れを改善する処置を行い、鼓膜の状態を確認します。
ただし、加齢による聴覚の低下は完全に回復させることが難しいため、犬や猫によって聞き取りやすい音の高さ(トーン)を見つけ、反応しやすい音を使って呼びかけるなど、コミュニケーションを工夫しましょう。
また、手の動きで合図を送ったり、足踏みなどで振動を伝えたりすることも、安心して意思疎通を続けるために有効です。
<嗅覚の低下>
◆ 主な症状
・ごはんへの関心が薄れる
・以前より食欲が落ちる
◆ 考えられる病気
嗅覚の低下にともなう食欲不振、慢性鼻炎 など
◆ 治療・対策
嗅覚が鈍くなると、ごはんの匂いがわかりづらくなり、食べることへの関心が薄れてしまうことがあります。
そのような時は、フードを少し温めて香りを引き立たせたり、ウェットタイプのごはんに切り替えたりするなど、匂いで興味を引く工夫が効果的です。
また、鼻づまりや慢性的な炎症が疑われる場合には、早めに動物病院で診てもらうことをおすすめします。
内臓機能の老化による変化とその対策
感覚器官とは異なり、内臓の変化は目に見えないため、飼い主様が気づくのが難しい場合があります。
しかし、年齢を重ねることで、少しずつ内臓機能が低下し、それが健康に大きな影響を与えることも少なくありません。
そのため、定期的な健康チェックがとても大切です。

<内臓の働きが弱まる>
◆ 主な症状
・元気がない、動きが少なくなる
・食欲が低下する
・被毛のツヤがなくなる、毛が抜けやすくなる
◆ 考えられる病気
肝機能の低下、慢性腎不全、膵臓の疾患、腫瘍 など
◆ 治療・対策
肝臓や腎臓の状態は、血液検査によって早期に発見できることがあります。
症状が出てから治療を始めるのではなく、症状が現れる前から定期的に健康診断を受けることで、病気の早期発見と早期治療に繋がります。
特に腫瘍(がん)は、早期に見つけることで治療の選択肢が広がり、予後の改善にもつながります。
血液検査に加え、超音波検査やレントゲンなどの画像診断を組み合わせることで、より正確な状態把握が可能です。
高齢の犬や猫の場合は、最低でも年に1〜2回の健康診断を受けることをおすすめします。
<便秘が増える>
◆ 主な症状
・排便の回数が減る、または排便時にいきむ
・便が硬く、形が不規則になる
◆ 考えられる病気
大腸の運動機能の低下、脱水、腫瘍や脊椎の異常による影響 など
◆ 治療・対策
便秘を予防するためには、食物繊維が豊富な食事、水分摂取量の増加、ウェットフードへの切り替えが効果的です。
また、適度な運動も大切なポイントです。さらに、腸の動きを助けるサプリメントやお薬を処方することもあります。
ただし、対策を始める前に、まずは原因を正確に見極めることが何より大切です。
便秘が慢性化する前に、日ごろから愛犬・愛猫の様子をよく観察し、気になるサインがあれば早めに動物病院へ相談しましょう。
まとめ
老化は避けられない自然な過程ですが、その変化を理解し、適切に対応することで、愛犬・愛猫のQOL(生活の質)を高く保つことができます。
感覚器官の変化に関しては、生活環境を少し工夫することでサポートできることが多く、内臓機能の変化についても、定期的な健康診断を受けることで早期に発見し、対応することが可能です。
当院では、こうした老化に関するご相談にも、ひとつひとつ丁寧に対応しております。
「年だから仕方ない」と諦めてしまう前に、もし気になる症状があれば、ぜひお気軽にご相談ください。
愛犬・愛猫が快適で健康な毎日を過ごせるよう、サポートさせていただきます。
※次回の後編では、皮膚や口腔ケア、そして季節ごとの体調管理について、さらに詳しくご紹介いたします。引き続きご愛読いただけますと幸いです。
世田谷区の成城通り病院と祖師谷通り病院の2拠点で、身近な街の動物病院として診療を行っている「池田動物病院グループ」
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