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犬・猫の嘔吐や下痢が治らないのはなぜ?慢性腸症(IBDを含む)と内視鏡検査で分かること

  • 内科 循環器科 腫瘍科

愛犬・愛猫の嘔吐や下痢が長く続くと、「何が原因なのだろう」「自分の食事管理が悪いのかな」と悩んでしまう飼い主様もいらっしゃると思います。

 

犬や猫の慢性的な嘔吐や下痢には、食事に対する反応、腸内環境の乱れ、感染症、腸の炎症、腫瘍など、さまざまな原因があります。なかには「慢性腸症」と呼ばれる病気が関係していることもあります。

 

また、超音波検査などでお腹の状態を確認しても、原因をはっきり特定できないことがあります。そのような場合に役立つ検査の一つが、内視鏡検査です。胃や腸の粘膜を直接観察し、必要に応じて組織の一部を採取して調べることで、これまでの検査では分からなかった異常が見つかることがあります。

 

今回は、犬や猫の嘔吐・下痢が長く続くときに考えられる原因と、内視鏡検査や生検によって分かることについて解説します。

 

 

■目次
1.慢性腸症とはどんな状態?
2.超音波検査と内視鏡検査では「見ているもの」が違います
3.内視鏡で組織を採ることで初めて分かることがあります
4.症状を繰り返す場合は、一度詳しく調べることも大切です
5.「原因が分かること」そのものに意味があります
6.まとめ

 

慢性腸症とはどんな状態?

慢性腸症とは、嘔吐や下痢、食欲低下、体重減少などの消化器症状が長く続いたり、繰り返したりする病気の総称です。

 

ひとくちに慢性腸症といっても、その背景や胃腸の状態はさまざまです。食事アレルギーが関係している場合もあれば、潰瘍性大腸炎のように大腸に強い炎症が起きている場合もあります。

 

そのため、食事内容を見直すことで症状が改善することもあれば、詳しい検査で胃や腸の状態を確認し、その結果に応じた治療が必要になることもあります。

 

このように、慢性的な嘔吐や下痢があるからといって、症状だけで原因を判断することはできません。これまでの経過や食事への反応、検査結果などを確認しながら、なぜ症状が続いているのかを調べ、その子に合った治療を考えていくことが大切です。

 

超音波検査と内視鏡検査では「見ているもの」が違います

慢性的な嘔吐や下痢がある場合、動物病院ではまず問診や身体検査を行い、必要に応じて血液検査、便検査、超音波検査などを組み合わせて原因を探します。

 

なかでも超音波検査は、胃や腸の厚さや形、動き、周囲のリンパ節など、お腹の中の状態を体の外から確認できる大切な検査です。

 

ただし、超音波検査だけですべての胃腸の病気が分かるわけではありません。

 

胃や腸の形に大きな変化がなくても、粘膜には炎症や異常な細胞が存在していることがあります。このような変化は、超音波検査だけでは判断が難しい場合があります。

 

そこで、必要に応じて検討するのが内視鏡検査です。

 

内視鏡検査では、細いカメラを口や肛門から入れて、胃や腸の内側を直接観察します。超音波検査が胃腸の壁や周囲の状態を体の外から確認する検査なのに対し、内視鏡検査では胃や腸の粘膜を直接見ることができます。

 

どちらか一方が優れているということではなく、それぞれ分かることが異なります。そのため、症状やこれまでの検査結果に応じて使い分けることが大切です。

 

内視鏡で組織を採ることで初めて分かることがあります

内視鏡検査の大きな特徴は、胃や腸の粘膜を直接観察できるだけでなく、必要に応じて組織の一部を採取できることです。

 

採取した組織を顕微鏡で詳しく調べる検査を「生検」といい、見た目だけでは分からない粘膜の炎症や細胞の変化を確認することができます。

 

その結果、慢性的な炎症が起きているのか、腫瘍が関係しているのかなど、超音波検査だけでは判断できなかった病気の診断につながることがあります。

 

実際に、胃の組織を詳しく調べたことで、腫瘍が見つかるケースもあります。

 

内視鏡検査はどのように行う?

犬や猫の内視鏡検査は、全身麻酔をかけて行います。検査中に体が動くと、安全に胃や腸の中を観察したり、組織を採取したりすることが難しいためです。

 

検査では、口から内視鏡を入れて食道や胃、十二指腸などを確認したり、肛門から入れて大腸を確認したりします。必要に応じて粘膜の一部を採取し、病理検査で組織の状態を詳しく調べます。

 

ただし、内視鏡で観察・採取できる範囲には限りがあり、疑われる病気や病変の場所によっては、内視鏡以外の方法で組織を採取する必要があります。

 

そのため、「内視鏡検査をすれば必ず原因が分かる」というわけではありません。これまでの症状や検査結果、年齢、全身状態などを踏まえ、内視鏡検査が必要かどうかを判断します。

 

症状を繰り返す場合は、一度詳しく調べることも大切です

特に猫では、「昔からよく吐くから」「毛玉を吐いているだけだと思う」と、繰り返す嘔吐をその子の体質として捉えてしまうことがあります。

 

しかし、嘔吐や下痢を繰り返している場合には、胃や腸に慢性的な炎症やほかの病気が隠れている可能性もあります。

 

犬や猫に次のような状態が続いている場合は、一度原因を詳しく調べることも大切です。

 

・嘔吐や下痢を何度も繰り返している
・治療すると良くなるが、しばらくすると再発する
・食事を調整しても症状が続いている
・嘔吐や下痢とともに体重が減ってきた
・これまでの検査では原因がはっきりしていない

 

ただし、このような症状があるからといって、すぐに内視鏡検査を行うわけではありません。

 

これまでの経過や検査結果を確認し、胃や腸の粘膜を更に詳しく調べる必要がある場合に、内視鏡検査や生検を検討します。

 

猫の嘔吐については、こちらの記事で詳しくご紹介しています

 

「原因が分かること」そのものに意味があります

慢性的な嘔吐や下痢が続いているのに原因が分からないと、「自分の食事の与え方が悪いのかな」「何かしてしまったのかな」と悩んでしまう飼い主様もいらっしゃいます。

 

検査によって原因が分かることは、適切な治療につなげるためだけでなく、「なぜこの症状が続いているのか」を理解することにもつながります。

 

もちろん、病名が分かったからといって、必ず積極的な治療を行わなければならないわけではありません。

 

例えば、病気の種類や年齢、体の状態によっては、治療による負担も考えながら、症状を和らげることを優先する場合もあります。また、病気の状態を理解したうえで、治療だけではなく、愛犬・愛猫と一緒に過ごす時間を大切にするという選択もあります。

 

大切なのは、原因が分からないまま悩み続けるのではなく、分かったうえで、その子にとってどのような治療や過ごし方がよいのかを考えることです。

 

診断がつくことは、治療方針を決めるためだけではなく、飼い主様が病気を理解し、納得したうえで愛犬・愛猫を見守っていくためにも意味があります。

 

まとめ

犬や猫の慢性的な嘔吐や下痢には、食事への反応や慢性腸症、腫瘍など、さまざまな原因があります。

 

超音波検査などで原因がはっきりしない場合でも、内視鏡で胃や腸の粘膜を直接観察し、組織を調べることで、診断につながる情報が得られることがあります。

 

大切なのは、検査をすること自体ではなく、なぜ症状が続いているのかをできる範囲で明らかにし、分かったうえで、その子に合った治療や過ごし方を考えることです。

 

当院では、これまでの経過や検査結果を確認し、必要に応じて内視鏡検査や生検を行っています。検査で分かったことを飼い主様と共有しながら、今後の治療や過ごし方を一緒に考えていきます。

 

「何度も吐いている」「下痢がなかなか治らない」「治療しても繰り返している」など、気になる症状が続いている場合は、一度ご相談ください。

 

世田谷区の成城通り病院と祖師谷通り病院の2拠点で、身近な街の動物病院として診療を行っている「池田動物病院グループ」

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