シニア犬・猫の歩き方がおかしい?「年のせい」で見逃したくない体の痛みと早期ケア
- 外科 整形外科
「最近、愛犬が散歩のときに歩くのが遅くなった」
「頭を下げて、とぼとぼ歩くようになった」
「愛猫が以前のように高いところへ飛び乗らなくなった」
愛犬・愛猫が年齢を重ねると、このような様子を見ても、「もう歳だから仕方ない」と思うことがあるかもしれません。
しかし、一見すると加齢による変化に見えても、首や腰、関節などの痛みや動かしにくさが隠れていることがあります。
体の痛みは、突然歩けなくなるような分かりやすい形で表れるとは限りません。「歩くのが遅くなった」「よぼよぼと歩くようになった」「今までしていた動きをしなくなった」といった、小さな変化から始まることもあります。
大切なのは、「歩けなくなってから」ではなく、歩き方や動き方が少し変わってきた段階で体の状態をみてもらうことです。
今回は、シニア犬・猫で気づきたい歩き方の変化や痛みが出やすい場所、早い段階からケアを考えることの大切さについて解説します。

■目次
1.シニア犬・猫の体の痛みは、なぜ気づきにくい?
2.首・腰・股関節・肩・膝|歩き方から分かることがあります
3.シニア猫は「ジャンプをためらう」が最初のサインになることも
4.早めに気づくことが大切な理由
5.診察では「歩かせて、触って」確認します
6.痛み止めだけではない|状態に合わせてケアを考えます
7.動物リハビリテーションという選択肢
8.まとめ
シニア犬・猫の体の痛みは、なぜ気づきにくい?
関節や筋肉の痛みというと、突然足を引きずったり、立てなくなったりする姿を想像するかもしれません。
しかし、犬や猫は言葉で「痛い」と伝えることができません。また、痛みがあっても、鳴いたり足を引きずったりするなど、分かりやすいサインを見せるとは限りません。
痛みや違和感があると、次のような歩き方や行動の変化として表れることがあります。
・歩くのが遅くなった
・足取りが弱々しくなった
・動くことが減った
・立ち上がるまでに時間がかかる
・段差やジャンプを避けるようになった
こうした変化を「歳をとったから動かなくなった」と決めつけるのではなく、「痛みや違和感があって動かなくなっているのかもしれない」という視点を持つことが大切です。
首・腰・股関節・肩・膝|歩き方から分かることがあります
歩き方がおかしいとき、必ずしも足だけに原因があるとは限りません。
首や腰、股関節、肩、膝など、体のさまざまな場所の痛みや動かしにくさが、姿勢や歩き方に影響することがあります。
〈首〉
散歩中、以前より頭を低くして、とぼとぼ歩いていないでしょうか。
頭を支えている首には、普段から負担がかかっています。首まわりに痛みやこわばりがあると、頭を動かしにくくなり、歩くときの姿勢にも変化が表れることがあります。
また、首を動かしにくい状態が続くと、かばうような姿勢になり、肩や背中など別の場所に負担がかかることもあります。
〈腰・股関節・肩・膝〉
腰や股関節、肩、膝などに痛みがある場合も、歩き方や日常の動作に変化が表れることがあります。
例えば、腰や股関節に痛みがあると後ろ足の動きが小さくなったり、肩や膝などに痛みがあると片方の足をかばって歩いたりすることがあります。また、痛む場所に負担をかけないようにすることで、立ち上がり方や歩くときの姿勢が変わることもあります。
こうした変化は「歳をとったからかな」と思いやすいものですが、痛みや違和感のある場所をかばうために、体の使い方が変わっている可能性があります。
シニア猫は「ジャンプをためらう」が最初のサインになることも
シニア猫では、仙腸関節と呼ばれる、背骨の下にある仙骨と骨盤をつなぐ部分などに痛みが出ることがあります。特に12〜13歳頃の猫では、こうした体の変化にも注意して見てあげたいところです。
ただし、最初から歩けなくなったり、まったくジャンプできなくなったりするとは限りません。
「キャットタワーへ飛び乗る前に、一度止まるようになった」
「以前なら一気に上がっていた場所を、少しためらうようになった」
こうしたわずかな変化から始まることがあります。
痛みや動かしにくさがあることでジャンプや移動を避けるようになると、後ろ足を使う機会が減り、少しずつ筋肉が落ちてしまうこともあります。
そのため、「ジャンプできるかどうか」だけではなく、「ジャンプするまでの動きが以前と変わっていないか」「高い場所へ行く回数が減っていないか」などを見ることも大切です。
猫の仙腸関節の異常については、こちらの記事で詳しくご紹介しています
早めに気づくことが大切な理由
関節や筋肉の痛みでは、痛みの始まりに気づくことが重要です。
痛みや違和感があると、犬や猫はその場所をかばって動くことがあります。やがて活動量が減り、筋肉も少しずつ落ちていきます。
その状態が長く続けば、立ったり歩いたりすること自体が難しくなり、寝たきりに近い状態になることもあります。
一方で、まだ日常生活を送れている段階で痛みや体の使い方の変化に気づき、必要なケアを始めることで、筋肉や関節の機能を維持しやすくなります。
「まだ歩けているから大丈夫」ではなく、「歩けている今だからこそ確認する」ことが大切です。
早い段階からケアを始めることは、自分の足で歩き、日常生活を送れる時間をできるだけ長く保つことにつながります。
診察では「歩かせて、触って」確認します
シニア犬・猫の歩行の変化は、見た目や画像検査だけでは分からないこともあります。
そのため当院では、実際に歩く様子を見て、体に触れながら状態を確認することを大切にしています。
歩かせてみることで、歩幅や足の運び方、左右差、頭や背中の位置などが分かります。
さらに首、腰、股関節、肩、膝などを実際に触り、筋肉の張りや左右差、関節の動き、痛みが出る場所などを確認します。猫の場合も、後ろ足の筋肉が落ちていないか、腰や骨盤周辺を触ったときに嫌がらないかなどを見ていきます。
必要に応じてレントゲンなどの画像検査も行いますが、歩き方を見て、実際に体に触れることで得られる情報も大切な判断材料です。
痛み止めだけではない|状態に合わせてケアを考えます
関節や筋肉の痛みに対する治療というと、痛み止めを思い浮かべる飼い主様も多いかもしれません。
もちろん、痛みや炎症が強い場合には、薬が必要になることがあります。状態によってはステロイドなどを使用することもあり、必要な薬を適切に使うことは大切です。
ただし、長期間動かなかったことで筋肉が落ちていたり、体がこわばっていたりする場合には、痛みを抑えるだけでは十分に動けるようにならないこともあります。
そのため、状態に応じてリハビリテーションなどを取り入れ、関節を動かしやすくしたり、体を支える筋肉の維持を目指したりすることがあります。
寝たきりに近い状態になった犬でも、原因や体の状態によっては、痛みを管理しながら適切なリハビリを行うことで、再び立ったり歩いたりできるようになるケースもあります。
大切なのは、薬だけ、リハビリだけと一つの方法に決めるのではなく、その子の痛みや筋力、関節の状態に合わせて必要な方法を選ぶことです。
動物リハビリテーションという選択肢
池田動物病院グループには、リハビリ&マッサージ施設「dog’s Re」があります。また、グループ内には動物理学療法士の有資格者が在籍しており、獣医師と連携しながら、その子の状態に合わせたリハビリテーションを行っています。
ただし、歩き方がおかしいからといって、最初からリハビリだけを行うわけではありません。
まずは獣医師が診察し、どこに痛みがあるのか、どのような原因が考えられるのか、全身状態に問題がないかを確認します。
その診察・診断をもとに、必要に応じてdog’s Reでのリハビリや施術を行います。
鍼などの施術についても、獣医師が体の状態を確認したうえで、必要性や施術する部位を判断します。
また、リハビリを続けている間も、必要に応じて獣医師が体の状態を確認しながら、そのときの状態に合ったケアを考えていきます。
「最近、歩き方が変わった」と感じた場合は、まず診察で現在の状態を確認しましょう。そのうえで、必要に応じて薬やリハビリテーションなど複数の選択肢から、その子に合った方法を考えていきます。
▶︎ 池田動物病院のリハビリ&マッサージについて
▶︎ dog’s Reについて
まとめ
シニア犬・猫の「歩くのが遅くなった」「よぼよぼと歩く」「ジャンプをためらう」といった変化には、首や腰、関節などの痛みが隠れていることがあります。
「歳だから」と決めつけず、以前とは違う歩き方や動き方に気づいたら、一度体の状態を確認してみましょう。
池田動物病院では、実際に歩く様子を見て体に触れながら状態を確認し、必要に応じて薬やリハビリテーションなど、その子に合ったケアを検討します。
早い段階で変化に気づき、必要なケアを始めることが、愛犬・愛猫が自分の足で歩ける時間をできるだけ長く保つことにつながります。
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