犬・猫の耳が臭い・黒い耳垢が出るのはなぜ?外耳炎のサインと耳掃除の注意点
- 内科 循環器科 腫瘍科
「耳が少し臭うけど、汚れているだけかな」
「黒い耳垢があるけれど、掃除しておけば大丈夫?」
愛犬・愛猫の耳にこうした変化があると、「少し汚れているだけかも」と思う飼い主様も多いのではないでしょうか。
しかし、耳の臭いや耳垢の変化は、外耳炎などの耳のトラブルによって起こっていることがあります。また、耳が赤い、頭をよく振る、耳をかくといったしぐさも、耳に異常があるときに見られる変化です。
一方で、犬や猫の耳は、ご家庭では奥まで確認することが難しく、炎症やできものなどの異常に気づけないこともあります。
そのため、「臭くないから大丈夫」「耳垢を掃除すれば大丈夫」と自己判断するのは注意が必要です。特に、綿棒などを耳の奥まで入れて掃除すると、耳垢を奥へ押し込んだり、炎症のある耳を刺激したりすることがあります。
今回は、犬・猫の外耳炎について、ご家庭で確認したいポイントや耳掃除で気をつけたいこと、動物病院で耳の奥まで確認する理由についてご紹介します。

■目次
1.まず確認したい|ご家庭で気づける耳のチェックポイント
2.よかれと思った耳掃除が、かえって悪化につながることも
3.黒い耳垢=マラセチアとは限りません
4.飼い主様からは見えない「耳の中のできもの」が隠れていることも
5.動物病院で「見て確認する」ことが大切な理由
6.まとめ
まず確認したい|ご家庭で気づける耳のチェックポイント
外耳炎とは、耳の入り口から鼓膜まで続く「外耳道」に炎症が起こった状態です。
犬や猫の耳は、日頃から見たり触れたりする機会があるため、飼い主様が変化に気づけることもあります。まずは、普段の耳と比べて「いつもと違うところがないか」を確認してみましょう。
特に、次のような変化が見られる場合は注意が必要です。
・黒色や茶色などの耳垢が増えている
・耳の内側が赤くなっている
・普段とは違う臭いがする
・耳がベタベタしている、耳だれがある
・頭を何度も振る
・後ろ足で耳を頻繁にかく
・耳を触ろうとすると嫌がる
・左右の耳で、耳垢の量や赤み、臭いに違いがある
外耳炎の症状の出方はさまざまです。黒い耳垢があっても臭いがほとんどしないこともあれば、見た目の変化が小さくても、臭いやかゆみが先に気になることもあります。
そのため、「臭いがあるか」だけを基準にせず、耳垢、赤み、耳だれ、しぐさ、左右差などをあわせて確認することが大切です。
よかれと思った耳掃除が、かえって悪化につながることも
耳の中に耳垢が見えると、「汚れているから取ってあげよう」と思う飼い主様も多いのではないでしょうか。
しかし、犬や猫の耳道は、人の耳のように入り口から鼓膜までまっすぐではなく、途中で曲がった構造をしています。
そのため、綿棒を奥まで入れて耳垢を取ろうとすると、耳垢を取り出すつもりが、かえって奥へ押し込んでしまうことがあります。
また、すでに炎症が起きている場合には、何度もこする刺激によって赤みや痛みを悪化させる可能性もあります。
症状がない場合の日常的なお手入れは、耳の入り口付近に見える汚れをやさしく拭く程度にとどめましょう。
黒い耳垢=マラセチアとは限りません
黒っぽい耳垢があると、「マラセチアによる外耳炎なのでは?」と思われることがあります。
マラセチアは真菌の一種で、犬や猫の外耳炎に関係することがあります。しかし、耳垢の色や臭いだけで原因を判断することはできません。
耳のトラブルには、マラセチアのほかにも、次のような原因や背景が関係します。
・細菌
・耳ダニなどの寄生虫
・アレルギーなどの基礎疾患
・草の種などの異物
・耳の中のできもの
・垂れ耳など、耳が蒸れやすい構造
また、複数の原因が重なっていることもあります。
飼い主様からは見えない「耳の中のできもの」が隠れていることも
耳のトラブルの中には、ご家庭では気づきにくいものもあります。その一つが、耳の中にできるイボのようなできものです。
できものによって耳道が狭くなると、耳垢や分泌物が外へ出にくくなり、耳だれが続いたり、外耳炎を繰り返したりすることがあります。
しかし、できものが耳の奥にある場合、飼い主様が耳をめくっただけでは確認できません。
さらに、耳の中にできものがあっても、必ずしも強い臭いが出るとは限りません。
「臭っていないから大丈夫そう」「それほど汚れていないから問題なさそう」と思っていても、耳の奥に異常が隠れている可能性があります。
動物病院で「見て確認する」ことが大切な理由
耳は、ご家庭で見られる範囲が限られているため、耳の奥に異常があっても飼い主様だけでは気づけないことがあります。
そこで当院では、耳の診察の際に耳鏡を使用し、耳道の奥まで確認しています。耳道の赤みや腫れ、耳垢のたまり方だけでなく、耳道が狭くなっていないか、異物やできものがないか、鼓膜付近に異常がないかなどを丁寧に見ていきます。
また、耳垢の状態だけでは原因が分からない場合もあるため、必要に応じて耳垢を採取し、顕微鏡で細菌やマラセチアの状態、耳ダニの有無などを確認します。
このように、耳の中を実際に見て、必要な検査を組み合わせることで、症状の原因を探っていきます。
当院では、診察で確認した耳の状態について、飼い主様にも分かりやすくご説明することを大切にしています。耳鏡で確認した状態を一緒に見ていただくことで、「どこが赤くなっているのか」「耳垢がどの程度たまっているのか」など、言葉だけでは伝わりにくい変化も分かりやすくなります。
さらに、治療を続けるなかで耳の状態を確認していけば、以前と比べてどのように変化しているのかも把握しやすくなります。
症状や原因はその子によって異なります。そのため、実際の状態を飼い主様と確認しながら、必要な治療やご家庭でのケアについてお伝えしています。
まとめ
犬や猫の耳のトラブルは、臭いだけでなく、耳垢や赤み、耳だれ、耳をかくといった変化から気づくことがあります。また、耳の奥には、ご家庭からは見えにくい異常が隠れていることもあります。
気になる症状があるときは、綿棒などで無理に掃除をせず、動物病院で耳の状態を確認してもらいましょう。
当院では、耳鏡を使って耳の奥まで確認し、その子の状態に合わせた治療やケアをご提案しています。耳のことで気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。
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