これって病気のサイン?猫の「なんとなく変」に気づくために
- 総合診療
猫は本能的に体調不良を隠しやすい動物です。
そのため、病気の初期段階では「いかにも具合が悪そう」というサインが出にくく、「なんとなく元気がない」「いつもと違う気がする」といった小さな変化だけが手がかりになることも少なくありません。
こうした違和感は、いちばん近くで暮らす飼い主様だからこそ気づける大切なサインです。日頃から愛猫の様子を観察し「うちの子のいつも」を知っておくことで、わずかな変化にも気づきやすくなります。
そこで今回は、愛猫の「なんとなく変」を見逃さないために、日常でチェックしたいポイントを項目ごとにわかりやすく解説します。

■目次
1.食欲・水分摂取量の変化
2.排泄の様子に変化があった
3.皮膚・被毛の異常
4.動き・姿勢・生活パターンの変化
5.呼吸・声・表情の変化
6.目・鼻・耳・口の異変
7.性格・生活リズムの変化
8.「ちょっと気になる」でも相談してください
9.まとめ
食欲・水分摂取量の変化
次のような様子が見られたときは、注意が必要です。

<考えられる病気や原因>
・腎臓病
・糖尿病
・甲状腺機能亢進症
・口内炎・歯周病 など
たとえば腎臓病や糖尿病では「水を飲む量/おしっこの量が増える」、甲状腺機能亢進症では「よく食べるのに痩せてくる」といった変化がみられることがあります。
また口内炎や歯周病があると、「食べたいのに痛くて食べられない」状態になり、食べ残しが増える場合もあります。
食器の中身の残り方や水の減り具合は、できる範囲で日頃から確認しておきましょう。可能であれば、体重・食事量・飲水量を簡単にメモしておくと、早期発見だけでなく診察の際にも役立ちます。
排泄の様子に変化があった
排泄の様子は“健康の鏡”です。次のような変化は見逃さないようにしましょう。

<考えられる病気や原因>
・膀胱炎
・尿路結石・尿路閉塞
・腎不全
・消化器疾患
・ストレス など
猫は泌尿器の病気が多く、特にオス猫では尿路閉塞(おしっこがほとんど出ない/まったく出ない状態)に陥ると、短時間で命に関わることがあります。
「何度もトイレに行くのに出ていない」「苦しそうに鳴く」「トイレ以外でうずくまる」といった様子があれば、すぐに動物病院を受診してください。
また、便秘や慢性的な下痢は腸の病気だけでなく、食事内容が体に合わないことやストレス、ほかの臓器の不調が関係していることもあります。
日頃から、トイレ砂の塊の大きさ・色、トイレに行く回数や滞在時間を「なんとなく」覚えておくだけでも、「いつもと違う」に気づきやすくなります。
皮膚・被毛の異常
皮膚や被毛の状態も、体調を知る大切な手がかりです。

<考えられる病気や原因>
・皮膚病(細菌・真菌・寄生虫など)
・アレルギー性皮膚炎
・内分泌疾患(ホルモンの病気)
・ストレス など
アトピー性皮膚炎についてはこちら
アレルギー性皮膚炎についてはこちら
膿皮症についてはこちら
猫は全身が毛で覆われているため、ご家庭では皮膚の変化に気づきにくいことも少なくありません。スキンシップやブラッシングの時間を「触って確かめる習慣」にしておくと、早期発見につながります。
動き・姿勢・生活パターンの変化
動き方や過ごし方のちょっとした変化も、体からのサインです。

<考えられる病気や原因>
・関節炎や筋骨格系のトラブル
・神経疾患(前庭疾患など)
・内臓の不調
・認知機能の変化 など
特に高齢の猫では「年齢のせい」と見過ごされやすいのですが、痛みを我慢していることも多く、活動量が落ちて筋力が低下し、さらに動きづらくなる…という悪循環に陥ることがあります。
「できなくなった動き」が増えてきたときは、早めにご相談ください。
呼吸・声・表情の変化
呼吸や声、表情の変化も見逃したくないポイントです。

<考えられる病気や原因>
・呼吸器疾患(気管支炎、肺炎など)
・ポリープ
・心疾患
・喉や声帯の異常
・痛み
・ストレス など
猫は呼吸の変化が分かりにくい一方で、呼吸の異常は緊急性が高いことがあります。
安静にしているのに呼吸が速い、お腹で大きく呼吸している、胸や肩が大きく上下する、そして口を開けて呼吸している場合は、迷わず早急に受診してください。
目・鼻・耳・口の異変
顔まわりの変化は、比較的ご家庭でも気づきやすいサインです。

<考えられる病気や原因>
・ウイルスや細菌による感染症(猫風邪など)
・歯周病・口内炎
・外耳炎・中耳炎
・白内障や緑内障などの眼疾患 など
これらは早い段階から、目・鼻・口のにおいなどに変化が出ることがあります。「いつもと顔つきが違う」「目がしょぼしょぼしている」といった、ささいな違和感が手がかりになることもあります。
スキンシップの時間に、目・耳・口まわりをやさしく確認する習慣をつけておくと、異常にいち早く気づけます。
性格・生活リズムの変化
行動や性格の変化も、「心と体のSOS」であることがあります。

<考えられる病気や原因>
・加齢に伴う認知機能の変化(いわゆる“猫の認知症”)
・ホルモン異常
・ストレス反応
・慢性的な痛みや内臓疾患 など
引っ越しや家族構成の変化などのストレスが、行動の変化として表れることもあります。
加齢に伴う変化であっても、原因に応じて食事の工夫や環境調整などで落ち着くケースがあります。「年齢だから仕方ない」と決めつけず、気になる場合は一度ご相談ください。
「ちょっと気になる」でも相談してください
早期発見・早期治療ができれば、重症化を防げるだけでなく、治療期間が短くなったり、結果的に費用負担を抑えられたりすることもあります。
病気の早期発見にいちばん大切なのは、飼い主様の日々の観察です。
「はっきりした症状」になる前の「ちょっと気になる」「なんとなくいつもと違う」と感じた段階でご相談いただくことで、愛猫の健康を守るチャンスが広がります。
受診の際は、気になった様子を写真や動画に残したり「いつから」「どのくらいの頻度で」などを簡単にメモしておいたりすると、診察で状況をより正確に共有しやすくなります。
まとめ
猫の不調サインは小さく、見逃しやすい傾向があります。だからこそ、飼い主様の「なんとなく違う」という感覚が、早期発見・早期治療につながる大切なきっかけになります。
今回ご紹介したポイントを参考に、日頃から食欲や排泄、呼吸、行動などをやさしく観察し、少しでも違和感があれば早めにご相談ください。
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